経済復興か、ハイパーインフレか・・・アベノミクスの成否を海外紙が予測

 26日、6月の日本の生鮮食品を除くコア消費者物価指数が、前年比0.4%増であったと発表された。

 昨年末発足した安倍政権と4月から新体制になった日銀は2年で2%のインフレ目標を打ち出しており、今月の参院選でも与党が大勝したが、各紙は楽観に釘を刺す。

【コストに押されたインフレ】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、コア消費者物価指数が前月比ベースでは横ばいであったことと、インフレが需要増ではなく、円安や燃料輸入増によるコスト高によることを指摘した。

 2011年3月の福島原発事故以来、液化天然ガスなどの代替燃料輸入が増加しているのに対し手を打っていないことと、円安でさらにその価格が上がっていることから、主に電力コストが上昇しているという。専門家は「エネルギー価格を持ち上げる供給サイドのショックに依存するだけの戦略では、デフレは克服されそうにありません」と危惧する。

 しかし日銀では、コスト上昇に押されたインフレではあっても投資と消費の好循環を生み出し、さらなる物価上昇の期待につながると考えている、と報じられている。

【経済復興か、ハイパーインフレか・・・】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アベノミクスが成功すれば日本だけでなく世界経済全体の復興につながると期待する。

 ただし、経済規模の2倍半にも達している日本の政府債務急増を危惧している。成長を実現できなければ投資家は政府の返済能力を疑い始め、国債金利は上昇し、そうなれば日銀に国債を買わせ続けても、世界的ハイパーインフレに終わるという。

 同紙は、日本国債は95%が日本人自身による保有とはいえ、国内債券市場はある時急に飽和する危険があると指摘する。特に、団塊世代の定年に伴いあと3〜4年で家計の貯蓄残高が落ち始めるはずであり、家計に支えられている国債需要は危うくなるという。

 そのため同紙は、それまでに、アベノミクス「第2の矢(財政再建)」の残りである増税・支出削減の中期計画を固め、「第3の矢(構造改革)」を現在のような「臆病な対策」だけで終わらせず、女性の労働力参入、高齢労働者の解雇、農業やサービス分野の規制緩和などでもっと抜本的な改革を断行すべきだと主張している。

Text by NewSphere 編集部