「ワクチン未接種者は入国禁止」発表のマルタ、直前に撤回

Patryk Kosmider / Shutterstock.com

 地中海の島国マルタ共和国は、7月14日からワクチン接種を済ませていない旅行客の入国を禁止する予定だったが、EUの批判を受け、土壇場でこれを撤回。未接種の場合は14日間の隔離という条件を課すことに変更した。

◆高いワクチン接種率を誇るマルタ
 人口約50万人のマルタのこれまでの感染者総数は3万1612人、死者は420人だ。マルタはEUのなかで最もワクチン接種が進んでいる国のひとつでもあり、接種を完了した成人は79%に上る。その甲斐あってか、新規感染者も3月10日のピーク後は急速に減少し、5月からは一桁台が続き、6月27日はゼロとなっていた。

 そのような状況を背景に、マルタは、6月1日からEU、アメリカ、日本などからの観光客受け入れを再開していた。この時点では、ワクチン未接種者もPCR検査による陰性証明書で入国が可能だった。

 ところが7月9日、突如として新規感染者が96人を記録。当局調べでは、そのうち90%がワクチン未接種者だったという(キャピタル誌、7/9)。これを受け同日、ワクチン未接種者の入国を禁じるとともに、国内の英語学校を一時的に閉鎖することを発表した。マルタの公用語は、ヨーロッパ内唯一のセム語派であるマルタ語と、英語の二言語。そのため、外国人を対象とする英語学校の人気が高い。

Text by 冠ゆき