わずかなストリーミング収入、苦しいアーティスト……英で問題になる配信サービスのあり方

ナディーン・シャー|CJS Media / Shutterstock.com

 音楽配信アプリなどを利用して、幅広いジャンルの楽曲をいつでもどこでも楽しめる音楽ストリーミングが世界中で人気だ。定額制の利用が多いが、割引プランや無料プランもあり、消費者にはお得感もある。その一方でアーティスト側に支払われる報酬は驚くほど少なく、制度の是正についてイギリスで議論されている。
 
◆メジャー・レーベル最高益 アーティストには雀の涙
 イギリスでは、音楽ストリーミングの2019年の売上高は10億ポンド(約1550億円)以上で、ソニー、ユニバーサル、ワーナーの3大レーベルは、記録的高収益を上げた。その一方で、10人中8人の音楽クリエーターが、ストリーミングから得られる収入は年間200ポンド(約3万1000円)以下であると、業界団体の調査に回答している。(学術系ニュースサイト『カンバセーション』)

 音楽業界では、スポティファイ、アップル・ミュージックなどのプラットフォームが業界の救世主となったことに異論を唱える人はいないとガーディアン紙は述べる。しかしアーティストに支払われる金額はスポティファイで1ストリーム当たり0.002〜0.0038ポンド(約0.31〜0.59円)、アップルでは0.0059ポンド(約0.91円)にすぎない。

Text by 山川 真智子