武器使用を明文化 海警法施行で緊張高まる尖閣情勢

出典:海上保安庁ホームページ

 米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は4日、米国や同盟国が直面している最大の脅威は中国による浸食であり、インド太平洋地域での軍事バランスが不均衡になっていると強い警戒感を示した。また、中国に対抗するため同盟国との協力を強化し、台湾への武器売却などの支援を進める方針を明らかにした。

 対中国ではトランプ前政権とバイデン政権の方針は大きく変わらず、今後4年間も安全保障や経済、テクノロジーなど多様な分野で米中の対立と競争が繰り広げられる。そのようななか、日本の尖閣諸島周辺では最近とくに緊張が高まっている。

◆海警法施行により緊張が高まる尖閣諸島
 2月1日、中国では海警局による武器使用を明文化した海警法が施行されたが、それ以降、現在までに海警局の巡視船による尖閣諸島周辺への領海侵犯や日本漁船への追尾や接近が急増し、緊張が高まっている。中国側には必要な場合における武器使用を強調することで日本や米国などをけん制する意図があるだけでなく、既成事実を積み重ねることで中国優位の状況に変えていきたい狙いがある。

 最近は、日本に対して尖閣諸島周辺における船舶の航行停止を求め、海警局の船が日本の領海内に長く居座ったり、日本の民間漁船に接近・追尾したりするなど危険な行動が顕著になっている。昨年、海警局の船舶は尖閣諸島周辺に365日中333日も現れ、領海侵犯は29日を数えた。今後もこのような状況が続くことが考えられることから、偶発的な衝突が発生する恐れもある。

Text by 和田大樹