中国ウイグル自治区暴動、27名が死亡 その背景とは?
中国北西部の新疆ウイグル自治区で26日未明、刃物を持った住民グループと警官隊が衝突し、少なくとも27人が死亡した。国営新華社通信は、「暴動」と伝えている。
暴動は26日未明、首府ウルムチ郊外にあるルクチュンで発生。警察官・警備員9名と市民8名が犠牲となり、暴徒10名が射殺され、3名が逮捕されたようだ。新華社通信は地元の共産党当局者の話として報じた。
ウルムチでは、2009年にもウイグル族と漢族の衝突が発生し、少なくとも197名が死亡した。その後もしばしば衝突が発生している。
他方、新疆でビジネスを展開している漢族系のある業者は、「暴動は知らなかった」と語り、ルクチュンでの暴動に驚きを表したとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、ここ数年、当局による監視とコントロールが大幅に強化されていることが背景にあると報じている。
同紙はまた、世界ウイグル会議のスポークスマンが、今回の暴動は、ここ数か月にわたりウイグル人が突然留置されていたことが背景にあると述べていることを取り上げた。
近年ウイグル自治区では取り締まりが続いており、多くのウイグル人の行方がわからなくなっていたようだ。そうした人々の所在について当局に尋ねても、情報提供が拒まれていると、あるウイグル人は同紙に語っている。
他方、イスラム教徒が多いウイグル人に対し、政府による宗教上の規制が、緊張の原因になっていると海外各紙は指摘している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、政府は経済を発展させるため何千人もの治安部隊とソーシャル・ワーカーを送り、強力な監視体制を敷いていると報じている。
政府による漢族の移住促進の効果もあってか、2008年の統計で新疆の人口に占める割合は約40%となっている。同紙は多勢に無勢になる危機がせまっていると報じている。
また同紙は、2009年に新疆各地で行ったインタビューとして、地元ウイグル族は漢族に強い憤慨を示しており、中国の一部になることを望んでいないと述べていたことを紹介している。
なお不穏な状況が続く新疆ウイグル自治区では、今年4月に発生した衝突(21名死亡)後、同地区のトップは、分離主義者に対し「妥協と譲歩の余地はない」と述べていることをウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。