バイデン政権でも続く米中対立 中国が恐れる人権問題への「多国間主義」圧力
中国は11月13日、米大統領選で勝利したジョー・バイデン氏と副大統領候補のカラマ・ハリス氏に対して祝意をはじめて表明した。当選確実が明らかになった直後から、欧州や日本、韓国、インドなど各国からバイデン氏に対する祝意が送られたが、中国は9日の時点でも、「バイデン氏が大統領選で勝利宣言をしたことは認識している」と述べるにとどめ、祝福するメッセージは発信していなかった。
◆遅れて祝意を表明した中国の意図は?
なぜ、中国は遅れて祝意を表明したのだろうか。そこには中国の思惑が見てとれる。現在、中国はバイデン政権がどう出てくるかを念入りに見ているはずだ。トランプ政権がさらに4年間続くのであれば、その後の米国の対中政策を予想することは難しくなかっただろうが、バイデン政権になると少なからず変わるところも出てくるとみられ、それによってバイデン政権がどう反応するかをチェックする意味もあったことだろう。要は、けん制球をひとまず投げたということだ。
◆バイデン政権は安全保障ではトランプ政権を継承
現在のところ、バイデン氏が大統領になっても米中対立は続くことだろう。選挙戦の前から、バイデン氏は中国へは厳しい姿勢で臨むことを宣言し、最近菅首相と行ったはじめての電話会談でも、インド太平洋構想の実現に向けて日米同盟を強化し、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島にも適応されることに言及した。もうこの時点で中国の海洋覇権構想とは相容れないことは北京自身がわかっており、トランプ政権下で悪化した米中対立は基本的に続くことは明らかだろう。
バイデン氏のスタンスはトランプ大統領と正反対のように思う人もあるが、中国の海洋覇権や香港国家安全維持法、台湾問題、最近急速に進む日米豪印のクアッド協力、インド太平洋構想などでは大きな違いはない。この部分では、バイデン政権はトランプ政権を継承することになる。
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