非接触決済のススメ 不衛生な現金を避けるコロナ時代の決済
パンデミック時代のより良い行動様式を模索している人は、この機会に、モバイル端末での非接触決済や、タッチで支払うクレジットカード、デビットカードの使い方を学んでみてはいかがだろう。
紙幣や硬貨の表面が概して清潔でないことは、衛生に気を配っている人なら誰でも知っている。また、鼻をすすり激しく咳こんでいるレジ係に、クレジットカードを手渡したいと思う人がいるだろうか? パンデミック以前の時代でさえ、いい気分はしないだろう。
現在、新型コロナウイルスの流行下で、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、実店舗での支払いには可能な限り非接触方式の決済を使用するよう勧告を出している。
非接触方式の決済は、クレジットカードやデビットカードをスライドさせて読み取る旧来方式よりも便利で安全性が高いにもかかわらず、アメリカ国内での普及はやや遅れている。しかし、不衛生な現金に触れなくても済む支払い方法を多くの人が模索しているいま、「衛生」という視点から、人々の行動に大きな転換がもたらされる可能性がある。
「現在のパンデミックは、変化をもたらす大きな推進力だと思います」と語るのは、電子取引協会(ETA)のCEO、ジョディ・ケリー氏だ。「その力は今後さらに強まり、加速すると思います。人々が新たな方式に慣れ、使い方を理解し、それがどれほどシンプルで使いやすいかに気づいたならば、その後はもう、後戻りすることはないでしょう」
非接触方式の決済に対する消費者の関心は、パンデミックの期間を通じて急速に高まっている。
今年1月以降、調査会社のフォレスター社が全米小売業協会(NRF)の代理として行った調査によると、調査対象となった小売業者の69%において、非接触方式での決済の割合が増加していた。また、調査対象の小売業者の3分の2が、何らかの形の非接触方式決済を取り入れていた。
非接触決済の使い方を学ぶのは、最初は面倒かもしれない。また、よく利用する小売店の一部で、新方式対応の支払い端末が導入されていない可能性もある。この方式の支払いを初めて試す場合には、支払い時間に追われない、時間に余裕のある機会を狙って試してみることがポイントだ。
「初めてモバイル端末で支払ったときには、私自身も方法がよくわかっていませんでした。やり方がわからずにあれこれ試しているのが、何だか少しバカみたいに感じました。でも、いったんやり方を理解すると、これは便利だと思いました」とケリー氏は言う。
今後、パンデミックを収束させる取り組みが続くなかで、旧来型の決済端末や不衛生な通貨の使用を避ける非接触方式の決済には、次の3つの方法がある。
◆タッチ方式
非接触方式の話をしているのに、「タッチ」という言葉は矛盾しているように感じるのも事実だ。しかし実際には、「タッチ方式」のクレジットカードやデビットカードは、カード内部に小型のアンテナを内蔵し、決済端末から数センチの範囲にかざすと反応する。
まず、支払いに使うカードに非接触決済の機能があるかどうかを、どうやって確認するのか? Wi-Fi マークを横向きにしたような、波形のロゴマークの有無を見れば良い。店頭でも、非接触決済が可能な決済端末には、同じロゴが描かれている。
このタイプのカードでは、モバイル端末がなくとも非接触方式で決済を完了でき、暗証番号を入力する必要もない。クレジットカード大手のビザによると、アメリカ国内のクレジットカード発行企業大手 10 社のうち 9 社までが、新方式の非接触決済機能のついたカードを積極的に顧客に配布しているという。
「この新技術に不慣れな方は、まず、お使いのカードに波型のロゴマーク付いているかどうかを確認してください。もしロゴがついていれば、次回に実店舗で買い物をする際には、そのカードでレジの端末にタッチするだけでOKです。嘘みたいに簡単ですよ。私も皆さんに、『トライしてみて下さい』とお勧めしています」ケリー氏はそのように語る。
◆スマートフォン決済
この方式では、ユーザーがウォレットアプリを起動し、店頭の決済端末の近くにモバイル端末をかざすと、モバイル端末が認証を求めてくる。この認証は、モバイル端末の通常のロック解除の方法と同じだ。つまり、認証コードを打ち込むか、指紋や顔認識によって認証を行う。NFC(近距離無線通信)と呼ばれる機能を備えた大部分のスマートウォッチも、この方式に対応している。もっとも普及しているサービスとしては、Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、Samsung Pay(サムスンペイ)がある。
モバイル端末での決済を行う場合には、実際にレジに行く前の段階で少し準備がいる。ここでは最初に、モバイルウォレットのアプリを使って、支払いに使うカード情報の入力を行うことが必要だ。それをもってカード情報が保存され、利用可能になる。
◆ガソリンスタンドでの非接触決済
アメリカ国内の多くの小売店では、対面での支払いを避け、モバイル端末での支払いを可能にするモバイルアプリを提供している。この方法では、商品の受け渡しは店頭受け取りのほか、自宅への配達や、店舗前の路上にて受け取るのが一般的だ。
小売決済のモバイルアプリを使用しているそのほかの業種としては、大手ガソリンスタンドのチェーンが挙げられる。ユーザーは、アプリストアから事前にダウンロードしたアプリを使って、いまいる給油所の給油機番号を特定し、給油の許可を出す。車両への給油が終わると、ユーザーがモバイルアプリで事前に指定した支払い方法にて料金精算が行われる。
給油機のノズルを触った後には、手を消毒することも忘れてはならない。
◆安全性は?
小売店での支払いでレジ端末に情報送信する際に、「クレジットカード番号を盗まれないだろうか?」と不安に思う人もいるだろう。
技術的説明を省いて結論だけ言うと、「カードをスライドさせて読み取る旧来方式よりも安全」というのが答えだ。これは、カードまたはモバイル端末が、暗号化された支払い情報を店舗側の端末に送信するためだ。基本的に、実際のクレジットカード番号は暗号化される。たとえ支払い情報を第三者が受信したとしても、そのデータを使って不正を行うことはできない。
「信じられないほど安全な支払い方法です」とケリー氏は語る。
現在の状況に照らせば、それはセキュリティの上でも、衛生上も、どちらの意味でも安全ということだ。
By GREGORY KARP of NerdWallet
Translated by Conyac