死者4000万人、史上最悪の感染症「スペインかぜ」とは?

スペインかぜ流行時の米カンザス州の病院、1918年|Otis Historical Archives, National Museum of Health and Medicine / Wikimedia Commons

 安倍首相は17日の会見で、政府が新型コロナウイルスの流行の第二波、第三波に警戒していることを明かした。新型コロナウイルスについては未知の部分が多く予見が難しいとしつつも、過去のスペインかぜの流行では第二波で大きな被害が出ており、そのことを念頭に置いている模様だ。世界人口の3割が感染したとも推定されるスペインかぜ、その特徴と被害はどのようなものだったのだろうか。

♦︎スペインかぜとは
 1918年から翌年にかけて、スペインインフルエンザが世界的に大流行した。これがスペインかぜと呼ばれるパンデミックだ。アメリカ北西部で感染者が確認された後、米軍の移動に伴いヨーロッパへと拡大し、その後世界へと波及した。スペイン王室のり患状況が大きく報じられたことから、スペインかぜの名が定着することとなる。

 原因となるウイルスはインフルエンザA型に分類され、おもに鳥類などが保有してきたものに由来する。長い期間の間に変異を繰り返し、香港型インフルエンザとして知られるものなど複数の種に分派した。スペインインフルエンザについては、世界保健機関(WHO)の統計によると、最終的な感染者数が世界人口の25%から30%に達している。感染した場合の致死率は2.5%を上回り、世界で4000万人の死者を出したとされる。

Text by 青葉やまと