おもちゃも「エコ」に CO2削減に取り組む玩具業界
玩具を箱から出す。実はこのプロセス自体が、大きな問題かもしれない。
新たな玩具を箱から出す際には、玩具本体よりもプラスチックや段ボールのゴミの方が多く出ることもある。「エコフレンドリー」からはほど遠い。
しかし、この状況を変えようという動きも起きている。一部の玩具メーカーは、環境に配慮した一連の取り組みによって今後は環境に配慮すると発表している。「グリーン」なおもちゃは、迷彩服のアーミー人形やカエルのカーミット(セサミストリートなどに登場するカエルのキャラクター)だけではないというわけだ。
「各企業は、プラスチックの少ないパッケージを使用する、あるいはパッケージ自体も玩具の一部としてデザインするなど、自社製品をより環境に配慮したものに変えようと試みています。いまやその動きは業界のトレンドとなっており、今年はさらに多くの試みがなされるでしょう」と、トイ・インサイダー誌の編集者を務めるマディー・ミカリック氏は話す。
パッケージ削減やリサイクル梱包材の使用、石油ではなくバイオ原料ベースのプラスチックを素材に選ぶなど、各企業の取り組みの内容は幅広い。一部では、過去には単なるゴミだった梱包箱を、そのおもちゃを使った遊びの構成要素に変えた例もある。
バービー、ミニカー、ベビー向け玩具のメーカーであるマテル社は、自社の製品ラインナップの一部は持続可能なものだと宣伝している。ここには、人気のメガブロックの「ウッドランドフレンズ」シリーズや、古くからの定番である「フィッシャープライス(ベビー玩具のブランド)」の「ロックアスタック」の最新版も含まれる。
「これらの商品は現在、バイオベースのサトウキビ由来のプラスチックで作られています。当社はこの素材を、今後発売するその他のロングセラー商品のラインナップにも取り入れていく予定です」と、マテル社の広報シニアマネージャー、スコット・シャフストール氏はコメントしている。
マテル社によると、リサイクルされた原料、もしくは持続可能な方法で調達された原料を93%使用することにより、同社は商品梱包から出る廃棄物を削減した。また同社は2030年までに玩具の素材として使用するプラスチック素材をすべてリサイクルされたもの、リサイクル可能なもの、またはバイオベースのものにすることを目標に掲げている。
環境保護団体レインフォレスト・アライアンスの元代表であり、ニューヨーク大学の「持続可能ビジネスのためのスターンセンター」で現在ディレクターを務めるテンジー・ウェーラン教授によると、持続可能性の実践に焦点を当てた玩具業界の取り組みは、非常に遅れているという。
「アメリカ国内には、14歳未満の児童が6,000万人います。そして玩具全体の90%がプラスチック製です。有害化学物質の問題、廃棄物処理の問題、サプライチェーンに関する社会的な問題もあります。つまり、対処すべき課題が山積みだということです」
ウェーラン教授は、確かにメーカー側はエコフレンドリーな取り組みを始めているものの、持続可能性に関するメーカー側の主張を検証することは困難だと指摘する。「廃棄物、二酸化炭素の排出、排水、それに製品自体の調査も必要です。それに加えて、各メーカーのサプライチェーン・パートナーの動向調査も必要です。いまここにあげたどれ一つとっても、現時点では不透明です」
ウェーラン教授は、確かにマテル社は製造原料の変更とパッケージの削減に関して積極的な取り組みを行っていると考えている。教授はまた、パッケージ削減とより安全な素材の使用に積極的に取り組んでいる企業として、ハズブロ社とレゴ社を挙げた。しかし玩具産業全体としては、依然として多くの課題を抱えているという。
「パッケージの改善および削減、プラスチック使用の大幅削減に関しては、まだまだ多くの余地が残っていると思います」と、同教授は語る。
そしてどうやら、メーカー側にもその声は届いているようだ。MGAエンターテイメント社は、同社の製品である「L.O.Lサプライズ!」ドールのラインナップの一部として生分解性ボールを発表。さらには、「リトル・タイク」ブランドで販売される再生樹脂を組み合わせた玩具の新たな製品ラインナップも発表した。
エデュケーショナル・インサイツ社は、これまで50年以上にわたって幼児向けの教育玩具を中心に販売を行ってきた。同社の「デザイン・アンド・ドリル」シリーズの「ボルトバディーズ・ピックアップトラック」という玩具では、そのパッケージ部分も、玩具を使った遊びに使えるようにデザインされている。
今年2月にニューヨークで開催された玩具の展示会では、同社の製品マネージャーのステイシー・パルカ氏が、玩具とパッケージを組み合わせて遊ぶ方法のデモンストレーションを行った。彼女はそこで、出荷時に玩具を梱包する箱自体が玩具の一部となるため、ほとんどゴミが発生しないことをアピールした。
「この商品では、子供たちは商品を梱包しているカラーパッケージを裏返しに展開し、プレイセットを作ることができます。このように、ごっこ遊びに使えるセットがあることで、遊びのパターンが大きく広がります」と、パルカ氏は語る。
また別の企業の例として、オランダに本社を置くサファリ・リミテッド社は、製造工程にサトウキビを使用した「バイオ・バディ」シリーズを販売している。この商品は、レゴやメガブロックにも類似したブロック玩具だ。
同社のゼネラルマネージャーのジョブ・ニッセン氏は、同社の使命は製造工程での二酸化炭素の排出削減と合わせて、若い世代の消費者に模範を示すことだと述べている。
「私たちは子供向けの製品を作るだけにとどまらず、同時に子供たちに環境教育について教えたいのです」と、ニッセン氏は語る。
By JOHN CARUCCI Associated Press
Translated by Conyac