犠牲やむなし、イギリス独自のコロナ対策 「集団免疫」で収束狙う

Richard Pohle / Pool via AP

 欧州では新型コロナウイルスの感染が拡大し、各国が封じ込めに懸命だ。そんななか、イギリス政府はすでに封じ込めには手遅れと判断し、集団免疫を獲得するまで感染のスピードを遅らせていく方針を発表した。科学に基づく対策と政府は主張するが、多大な人的犠牲を払う策だと批判が噴出している。

◆国民びっくり 政府による集団免疫論
 現在欧州では感染が急拡大している。すでに2100人を超える死者を出しているイタリアでは全土封鎖が行われ、各国で国境封鎖や学校休校、大規模イベントの中止などが相次いでいる。ところが厳格な他国の対応とは対照的に、イギリス政府はすでに「封じ込め」から感染を「遅らせる」段階に入ったとし、独自の方針を発表した。

 英政府が目指しているのは、感染の速度を遅らせ、ピークを低く抑えるようコントロールすることだ。これにより、夏の間に「集団免疫(人口の大部分がある感染症に対し免疫を持っていることで、免疫を持たない人を保護する手段)」ができ、冬以降の第2の流行に対する防御になると説明されている。しかし、具体的対策は熱や咳があれば7日間家に籠ること程度しか上げられず、軽症者には検査はしない方針とされたため、政府に批判が噴出した。

Text by 山川 真智子