マレーシア総選挙 初の政権交代なるか?
5日、マレーシアで総選挙が行われる。マレーシアは、マレー系、中国系、インド系などからなる多民族国家であるが、1957年のイギリスからの独立以来、マレー系の住民に有利なブミプトラ政策を進める与党連合の国民前線が安定して政権を握ってきた。
対抗する野党「人民連合」を率いるのは、以前副首相をつとめたアンワル・イブラヒム氏で、すべての民族に平等な政策を訴えている。
海外各紙は、今回の選挙は、半世紀以上にわたり大きな政治的変化がなかったマレーシアで初めて政権交代が起きるのではと注目している。
【与党の主張】
国民前線を率いる現首相ナジブ・ラザク氏の最も大きな功績と言えるのが、マレーシアの経済発展だと、BBCは指摘している。マレーシアはいまや東南アジアで最も豊かな国のひとつで、昨年、GDPは5.6%成長したという。
BBCによると、ナジブ氏の公約は、生活水準を向上し、さらなる海外からの投資を呼び込み、汚職と戦うことだという。
政府は選挙に向け、国が関係する企業の従業員にボーナスを支給した。また、再び政権をとったあかつきには、低所得者に現金を支給する約束をしたと報じている。
フィナンシャル・タイムズ紙は、与党が、野党連合はお互い受け入れられない慣習をそれぞれが持ち、安定した政治組織でないと主張したと報じている。
また、アンワル氏は信頼できない日和見主義者だとも批判したという。
【野党の主張】
BBCによると、野党は汚職と偏好した政策を改善し、政治の透明性を上げることを約束することで、より良い政治や経済改革を求める人々の欲求に訴えようとしているという。
アンワル氏の「正しい政治が必要だ」「それは、それぞれに公正であることだろう。間違いない。しかし、市場改革と、民族に関係なく誰もがより良く活動するのを助けることも避けてはいけない課題だ。」と最近の発言をウォール・ストリート・ジャーナル紙が引用している。
また彼は、今の政治の腐敗にもしばしば言及しているという。
【政権交代は実現するか】
有権者の現在の政治に対する不満を背景に、アンワル氏側が優勢だとする数字もあるようだが、彼がまとめる野党連合には問題もあると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘している。
ひとつは、多数の議席を有し選挙の鍵を握るとされるボルネオ地域が、与党の牙城だということだ。前回2008年の選挙では、野党はほとんど歯が立たなかった。ふたつめは、アンワル氏が率いている野党連合は、与党側が指摘するように、異なる民族出身の寄り合い組織で、まとまりが悪いという。
このような不安要素もあるものの、フィナンシャル・タイムズ紙は、国内のどこでも繰り返し聞かれるという次のような意見を引用している。
「私たちの国は長い間、マレー人、中国人、インド人などの民族が共存してきました。同じ政権が50年間も政権の座にあります。私たちは、一緒になってこの国を変えるのです。何の問題もありません」「あまりにも政治腐敗が蔓延しています。」