大麻配達めぐり訴訟 販売業者が郡規定の無効求める カリフォルニア
大麻の宅配をめぐり、カリフォルニア州で新たな法廷闘争が持ち上がっている。
サンタクルーズ郡が、郡内の非法人地域(どの基礎自治体にも属さない地域)一帯への大麻の宅配事業を郡外の小売業者に禁じているのは州法違反だとして、州内の公認大麻販売業者が郡当局に対する訴訟を起こした。
7月12日、イースト・オブ・エデン・カンナビス社がサンタクルーズ郡の上級裁判所に訴状を提出。アメリカ最大の合法マリファナ市場のカリフォルニア州において誰がどこまで大麻を配達できるかの判断をめぐり、難解な法定闘争が勃発した。
同社は訴状の中で、「今後も同社が非法人地域への大麻配達を続けるのなら、犯罪捜査に着手し、州から与えられた同社の大麻販売許可の取消しを求める」との脅しを郡当局から受けていると主張。郡当局の一連の行為は「州内すべての地区への大麻配達を当社に認めたカリフォルニア州法に、直接的に反するものだ」と述べている。
近隣のモントレー郡に本社を置く同社は、大麻宅配事業の再開を認めるとともに、現行の郡の規定が「無効かつ執行不能なものである」と宣言するよう裁判所に求めた。
カリフォルニア州では、2018年1月に大麻の広範な合法販売が開始されたが、その販売場所をめぐって争議が続いている。州内の広い範囲で大麻の販売事業が禁止されたり、合法販売を認める規則が定められぬまま放置されたりした結果、大麻の購入が困難な「砂漠地帯」が生じ、結果としてその地域の居住者が、合法的に大麻を購入する機会を事実上奪われてきた。大麻関連企業と消費者側が宅配事業を強く求めているのは、そのような背景があってのことだ。
同社を支持する人々は、この「砂漠」問題は、自分で車を運転して遠くまで買いに行けない病人や健康弱者にとってはさらに深刻だと主張する。アメリカの国家レベルでは、大麻は今でも違法扱いであるため、大麻を郵便で受け取ることはできない。
カリフォルニア州当局は今年1月、商用大麻の販売禁止を定める自治体も含め、州内全域で大麻の宅配を許可する新たな規定を承認した。
ところがこの決定に対し、ビバリーヒルズ市、サンタクルーズ郡を始めとする20以上の自治体が、規定を撤回するよう州当局に求める訴訟を起こした。
また、無制限な大麻宅配事業は規制の及ばない不透明な大麻取引の闇市場を醸成しかねず、広範な大麻販売を合法化した2016年の州法が保証する「地域ごとの自主規制」をなし崩しにするものだとして、カリフォルニア都市連盟と州内の複数の警察署長が不満を表明している。
サンタクルーズ郡のスポークスマン、ジェイソン・ハッピン氏は、イースト・オブ・エデン・カンナビス社の今回の訴えは、域内での大麻販売の規制に関する自治体の権限を根本から損ねるものだと述べる。
「当地域で販売を行う事業者を、確実に把握しておきたいのです」とハッピン氏は言う。
訴状によると、現在サンタクルーズ郡は、オンラインや電話での注文宅配を含め、郡内で認可を受けた薬局でのみ大麻の小売販売を許可している。
郡は、郡内14の既存の地元事業者に限って店頭での大麻の調剤販売ライセンスの申請を認め、その他の事業者が、サンタクルーズ郡内の非法人地域への大麻配達のライセンスを取得することは認めていない。結果としてこれらの地域では、郡外すべての公認小売業者が宅配事業を禁じられている。
大麻事業者らによる事業者連盟「Californians for Equal Access(平等なアクセスを求めるカリフォルニア人)」のエリック・スクラー氏は声明の中で、「サンタクルーズ郡は、合法的な大麻の入手機会を制限しようとしている」と述べている。
「大麻の禁止はすでに過去のものです。サンタクルーズ郡は、この点を理解する必要があります。我々は裁判所に対し、大麻配達の制限に反対する決定を下すよう要請します」とスクラー氏は主張している。
Translated by Conyac
By MICHAEL R. BLOOD Associated Press