日本4ヶ月ぶりの経常黒字 景気回復の兆しか?海外紙が分析
財務省は8日、2月の日本の経常収支が4ヶ月ぶりに6374億円の黒字になったと発表した。1月の3648億円赤字からは大きな逆転となり、4500億円前後の黒字という各紙調査のエコノミスト予測をも上回った。ただし、昨年同月の黒字よりも47%減であり、その昨年1年間の経常黒字にしても、2011年の半分以下である。
別途発表された3月の景況感調査結果(内閣府)では、前月から4.1ポイント上がって57.3となった。5ヶ月連続の改善であり、景気回復期にあった2006年3月の水準に相当する。
各紙は、円安により海外投資利益の円換算額が膨張したことなどが、黒字に寄与したと分析する。ただし貿易収支は、円安が燃料などの輸入単価上昇に直結したため、8ヶ月連続の赤字となった。フィナンシャル・タイムズ紙は、円安が輸出において競争力拡大効果を発揮するにはまだ時間がかかると見ている。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国が旧正月だったことによる中国からの輸入減少が、一時的に貿易赤字を低減させ、経常黒字に寄与したとも指摘している。同紙は、円安により輸出部門の先行きを楽観視する声が多いとしながらも、実体経済の改善につながっていない間は安心できないとする専門家の声も伝えている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、先週黒田新総裁が見せた日銀の大規模緩和姿勢が、円安・株高につながり、さらに世界的に波及していることを伝えた。マネタリーベース(貨幣流通量)拡大により大量注入された資金は、行き場を求めてグローバル市場に流入する。また日銀の主要金利が低いため、国際投資家は安く円を借りて海外に貸すことができ、そこでさらに円安になれば安い円でローンを返済できるという。ただし同紙は、「世界の金融システムにこのような大量資金を注入すると、実体経済に歪みを引き起こすような形で物価が歪む結果に終わる可能性があります」との、専門家の警告も伝える。
また同紙によると、1ドルが今年110円、来年120円にまで達すると推定する専門家もいるという。