新法王に早速降りかかった「難問」とは?
アルゼンチンのフェルナンデス大統領は18日、同国出身であるローマ法王フランシスコ1世と会談し、英領フォークランド諸島の領有権について、イギリスとの仲介を要請した。会談後、同大統領が明らかにした。法王の反応は伝えられていない。
同大統領は会談後、1978年に当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世がビーグル海峡をめぐるアルゼンチンとチリの領土争いで仲裁役を果たしたことに言及。「歴史的な好機」として、まずはイギリスに交渉のテーブルにつくよう求める姿勢であることを強調した。
海外各紙は、法王就任以前は新法王と敵対していた同大統領の発言に注目した。
【新法王とフェルナンデス大統領の関係】
新法王がアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの大司教を務めていたころ、同国の同性婚合法化などの問題をめぐり、フェルナンデス政権とは敵対していたという。新法王は同性婚合法化について「悪魔の策略」と非難し、フェルナンデス大統領は彼の立場を「中世的」と評したこともあるとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
一方、フランシスコ1世は地元のメディアに「マルビナス(フォークランドのアルゼンチン名)は我々のもの」と語ったことがあるとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。そのため同大統領は、これを「歴史的な好機」として、フランシスコ1世の助けを得ようとしているとみられる。
【フォークランド諸島問題の経緯】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙はフォークランド諸島のこれまでの経緯について詳細に報じた。同紙によると、フォークランド諸島は1833年から英国が実効支配を維持。1982年、アルゼンチンの軍事政権がフォークランド諸島に侵攻したが、英国が勝利した(フォークランド紛争)。
フォークランド諸島の帰属をめぐっては今月初めに住民投票が実施され、住民の99.8%が英領維持を選んだ。これに対しフェルナンデス大統領は、「パロディーだ」と評していた。同大統領は長年、英国が南太平洋の「軍事化」を進めていると非難しているという。