シリア難民「100万人」突破 国際社会に打つ手はあるのか?
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、シリア国外に脱出した難民の数が100万人を突破したという。これは同国人口の5%にあたる。特にここ数ヶ月間での増加は著しく、今年に入って以来、40万人以上が難民となったという。またその半数が11歳以下の子どもとも指摘されている。
海外各紙は深刻化するシリア国民の状況や、それに対応しようとする諸外国の動きを報じている。
各紙とも、「100万人が(国外へ)避難し、それ以上の数の人がシリア国内で避難を余儀なくされている。シリアからは毎日何千人もの人が国境を越えて難民となっており、まさに最悪の事態へと発展しつつある」というUNHCRの声明の一部を取り上げ、危機的な状況を報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、現在は毎日7000〜8000人が国境を超えて難民となっているという。近隣諸国が受け入れた難民数はレバノンが33万人、ヨルダンが32万人、トルコが18.5万人、イラクが10.5万人、エジプトが4.3万人、また北アフリカや欧州へ逃れる人々も少なくないようだ。
難民の多くは地方出身者や労働階級であり、政府による被害を最も強く受けている人々だとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。国からの脱出にも危険が伴っており、政府軍による攻撃で負傷した人々や病人などもいるという。難民として他国に受け入れられたとしても、飢餓や、医療・住居の不足により多くは苦しい生活を余儀なくされているという。
UNHCRは、難民を受け入れている国々に対して「寛容な姿勢を高く評価する」としながらも、そのキャパシティは限界に近づいているとして「国際社会も出来る限りの支援をするべき」と呼びかけている。レバノンでは難民増加などにより既に人口が10%増加、ヨルダンではエネルギー供給や医療、教育サービスの提供が限界に近く、トルコでは既に6億ドル(約560億円)を投じて17ヶ所に難民キャンプを設置しているとニューヨーク・タイムズはまとめた。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、UNHCRが昨年末に立てたシリア地域対応計画の中で、今年上半期までの難民数を110万人と予測していたが、見直しが必要な程に事態は深刻化していると指摘。しかし現時点では必要予算の25%しか資金が集まっておらず、近隣諸国以外からのさらなる支援の手が必要と報じている。