33万票の無効票、なぜ?どうなる?ケニア大統領選

 ケニアの大統領選で、33万票におよぶ無効票の扱いが問題になっている。

 1400万強の投票数に対し、5日夜になってもまだ開票率は40%あまりだが、目下のところ、ケニヤッタ副首相が得票率53%でトップ、オディンガ首相が42%で追っている状況だ。ただ、今後はオディンガ氏の地盤が多く開票されてゆくこともあり、接戦と言える。
 こうした状況下で、選挙管理委員会は急遽、33万票の無効票も投票総数に加えられるべきとの声明を発表した。憲法解釈に従えば「有効投票総数」ではなく「投票総数」の50%を得た候補がいなければ決選投票になる、というのだ。これにより勝利が不確実になったケニヤッタ陣営は、「ケニヤッタを勝たせたくない」外国の圧力に屈した発表だとして反発。オディンガ陣営は成り行きを注視している模様だ。

 では、そもそもなぜ無効票が33万票(開票数の6%以上)にも達したのか。理由について選挙管理委員会は調査中としている。ただし各紙は、今回の選挙が大統領選や議員選など6種類もの統一選挙であり、投票箱の入れ間違いが頻発したのではないかと報じている。夜10時になっても有権者の行列をさばききれていない投票所もあったと伝えられている。またフィナンシャル・タイムズ紙は、2004年米国大統領選挙で問題になったパンチ式の投票用紙を引き合いに出した。

 今回の投票自体は概ね平穏に進んだとされるが、懸念も残る。
 2007年12月の前回大統領選では、不正投票の訴えが暴動に発展し、1000人以上が死亡した。このとき出馬していたオディンガ氏は「勝利を騙し取られた」と主張しており、一方でケニヤッタ氏などが「殺人ギャングを展開した」として国際刑事裁判所に訴追されている。これを受けてウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ケニヤッタ氏が勝利するようなら、西側諸国からのケニアの評判に関わると評した。ニューヨーク・タイムズ紙も、オディンガ氏の地盤で再び騒乱が起こることを危惧している。
 背景として、ケニアではいまだに政策よりも出身部族が投票の決め手となっており、有権者は選挙後の民族的報復を恐れてもいると解説されている。ケニヤッタ陣営は多数派のキクユ族などから成り、オディンガ陣営はそれより少数派のルオ族などから成る。

Text by NewSphere 編集部