インドはテロの連鎖を断ち切ることができるか?

 21日(現地時間午後7時ごろ)、インド南部のハイデラバードで爆弾テロが起き、確認されているだけでも13名が死亡、83名が負傷したと報じられている。ハイデラバードは、IT産業の中心地として、マイクロソフトやグーグルなどの多国籍企業がその拠点としている。犯行声明はまだ出されていない模様だ。
 海外各紙は、インドのテロへの対応力について報じている。

【複数回の爆発はテロの常套手段】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、爆弾テロの現場の状況を詳細に報じている。それによると、爆弾は2台の自転車にくくりつけられ、150メートル間隔で配置されていたという。1つ目の爆弾で8名が死亡し、その10分後の2個目の爆弾で3名が死亡したとされる(犠牲者はその後増えた)。
 ただし、タイムズ・オブ・インディア紙は、2回目の爆発が起きたのは1分後と報じている。同紙によると、最初の爆発は映画館の近くで起き、2回目は食堂のそばで起きたという。爆発により人々が空中に舞い上がり、黒煙が立ち込め何も見えない状況が続き、舗装道路には穴があいたという。不発弾が回収されたというテレビ報道があったらしいが、未確認であるという。
 フィナンシャル・タイムズ紙によると、爆弾テロのターゲットとなった地区は、密集度が高い労働者階級の地区であり、インド国内の他地域から移り住んできた人々が多いという。

【無策ぶりを批判される政府】
 政府高官の一行が多数の取り巻きと警護隊を伴ってハイデラバードに入ってくる様子を、”極めて役立たず”と地元ニュースチャンネルが報じたという。それによると、政府高官の警護に費やされている費用と人材がインドでは批判の対象となっているという。特に、昨年12月にニューデリーで起きた集団レイプ事件で明らかになったように、一般市民を守る体制が欠けていることから批判は一層強まってきたらしい。同紙によると、インドの政治家も他国のそれと同様、テロに対してはいかに強い態度を見せるかを競い合うが、現場に入り記者会見をしてそれで終わりであるという。
 またフィナンシャル・タイムズ紙は、警察が、現地入りする地元の政治家とその支持者や抗議行動をする者、報道機関などを整理するのに追われていると報じている。

【警告は生かされたか】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、内務相が2日前にテロ攻撃を示唆する情報を得ていたと報じている。今回のテロ事件の2週間前には、2001年に起きた国会襲撃事件の関与者が処刑されたばかりであった。またインドの情報機関もテロに対する警告を発していたと報じられている。それによると、2008年にムンバイで起きたテロに関与した罪で3か月前に処刑されたモハメド・アフザル死刑囚への報復が予想されていたのだという。

Text by NewSphere 編集部