アニマルクラッカーの動物たち、116年ぶりに檻から出る 動物愛護団体が呼びかけ
1世紀以上の時を経て、アニマルクラッカーのパッケージに描かれた檻の中の野生動物たちは、ついに自由に歩き回れるようになった。
ナビスコの親会社であるモンデリーズ・インターナショナルは、「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」からの働きかけに応え、「バーナムアニマルクラッカーズ」のパッケージのデザインを一新した。
PETAは30年以上、サーカスで動物を使うことに抗議を表明し続けてきたが、2016年春にモンデリーズに対し、クラッカーのパッケージデザインを変更するよう呼び掛けた。
「動物を使うサーカスにつきものの甚だしい残酷さと、単なる娯楽のために使われる動物からの搾取に対する一般市民の反対の激化を鑑み、ナビスコに対し、動物たちが自然の生育環境でのびのびと歩き回る様子を描くよう、パッケージデザインの一新を強く要求する」とPETAは書簡の中で述べた。
モンデリーズはこれに同意を示し、新しいパッケージデザインに取り掛かった。その一方で、クラッカーと同名のサーカス団であるリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスは廃業の時を迎えた。146年の歴史を誇った古参の同サーカス団は、PETAなどからの圧力によって2016年にはサーカスで象を使わないようにしていたが、公演チケット販売の低迷によって2017年5月、その長い歴史の幕を閉じた。
今日、アメリカの店舗の陳列棚に並ぶクラッカーの新しいパッケージデザインでは、おなじみの赤と黄色の色使いと人目を引く「バーナムアニマル」の文字は変わることなく健在だ。しかし、サーカス開催地へ車に乗せられて移動する様子を暗示する、檻に入れられた動物たちの代わりに、新しいパッケージには、シマウマ、象、ライオン、キリン、そしてゴリラが草原の上を横に並んで自由に歩いている様子が描かれている。遠景には、アカシアの木の輪郭が見てとれる。
モンデリーズの北米担当最高マーケティング責任者であるジェイソン・リーバイン氏は「PETAがバーナムのことで連絡してきた時、我々はこのブランドを近代的、かつ現代にマッチしたものであり続けるまたとない機会であると考えた」と声明の中で述べた。
モンデリーズはイリノイ州に拠点を置いている。同州は、サーカスで象を使うことを全州で禁止する法案を可決し、この1月に発効した。アニマル・ディフェンダーズ・インターナショナルによると、アメリカ国内の80以上の都市で全面的もしくは部分的に野生動物を使ったサーカスを禁止している。
PETAのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるトレイシー・レイマン氏は、バーナムのパッケージデザインが一新されたことは動物に対する文化の変容を表しており、このことを祝福していると語った。
「バーナムアニマルクラッカーズの新しいパッケージは、もはやサーカスの見世物のために野生動物を檻に入れたり、鎖でつないだりすることを社会が許容しないことを完全に反映している」と同氏は話した。
ナビスコは1902年からバーナムアニマルクラッカーズの製造を続けている。同社は以前にもパッケージのデザインを変更したことがあったが、それらはみな期間限定の特別なものばかりだった。1995年には、絶滅が危惧される動物たちのイラストを集めたパッケージに変更し、収益を世界自然保護基金へ寄付した。1997年には、各地の動物園の様子をコレクションしたデザインとし、その収益をアメリカ動物園水族館協会へ寄付した。さらに2010年には、虎の保護基金を集めるためにデザイナーのリリー・ピュリッツァー氏と協業してパステルカラー調のパッケージをデザインした。
同社は、バーナムアニマルクラッカーズが毎年どのくらい売れているのかを明らかにしていない。カナダで販売されているバーナムアニマルクラッカーズのパッケージデザインはすでに異なるものになっているが、今回のデザイン変更は売上に影響を及ぼしてはいない。
By DEE-ANN DURBIN, AP Business Writer
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