安倍首相はTPP交渉に参加するのか?

 安倍首相の訪米が迫る中、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への対応が注目されている。自民党の衆院選での公約は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対する」というものだ。党内でも賛否両論が分かれる中、自民党の外交・経済連携調査会は13日、交渉参加の「基本方針」をまとめた。内容は、前述の公約を再確認するものにとどまった。
 
 日本の各紙は、「交渉参加すべき」という姿勢で共通している。ただ、注目する論点は微妙に異なる。

 まず朝日新聞は、背景として、アメリカとEUがFTA(自由貿易協定)協議を始めることを挙げた。歴史的に、多国間交渉から個別の国同士のFTA・EPA(経済連携協定)といった枠組みの交渉へと変わってきていることを指摘。“海外との通称を基盤に発展してきた国として、日本はこの流れにどうかかわっていけるか”と問題提起を行なっている。そのうえで、TPP交渉に参加し、利害を見極めて実際に参加するかを決めるべきと主張している。アメリカやカナダなどが、既に一部品目の保護に向け動いていることも指摘し、日本も“交渉力次第”でTPPを活かせるという論調だ。

 読売新聞も、自民党が衆院選前、「交渉力がある」と強調していたことにふれ、それを発揮できるよう体制を整えて交渉参加すべきと主張する。夏の参院選を控え、TPPに反対する農協などの離反を恐れて曖昧な答弁に終始する安倍首相に対しては批判的だ。“アジアの活力を取り込む”TPPの利点を説明し、アベノミクス「3本の矢」の一つである「成長戦略」を実現すべきと主張している。

 産経新聞も同様に、TPP参加により、規制撤廃が進むことは、「脱デフレ3本の矢」の成長戦略に合致すると主張する。TPP交渉参加を前提とした上で、農業への企業参入など規制改革を進めるべきと述べている。もし自民党が、TPP反対の農協に配慮し反対を貫くのであれば、“難しい調整を乗り越えて国益を守るべき政府・与党の責務は果たせない”と厳しく断じた。

Text by NewSphere 編集部