マンデラ氏生誕100年 オバマ氏、アフリカの若者に変革求める「あなたの野心は?」
アメリカ合衆国の前大統領であるバラク・オバマ氏は7月18日に、反アパルトヘイトの指導者であったネルソン・マンデラ氏の生誕100周年を記念し、南アフリカ共和国の国民と共にチャリティー講演を実施した。南アフリカ共和国は、少数派の白人による支配が終了してから24年が経った後も、根深い経済的不平等に苦しんでいる。
オバマ氏はヨハネスブルグで、マンデラ氏の遺した寛容の精神について活気あふれるスピーチを行い、ドナルド・トランプ大統領と彼の政策について名前を伏せて批判した。翌日には、生誕100周年を記念するためアフリカ中から訪れた若いリーダー達と面会した。集まった14,000人の熱狂的な観衆はスタンディングオベーションで応え、オバマ氏が大統領の座を去ってから最も脚光を浴びた講演会となった。
「多くの方は、マンデラ氏は私みたいな髪の色をしたおじいさんだと思っているでしょう」と56歳で、白髪交じりのオバマ氏は笑いながら観衆に語った。さらにオバマ氏は、マンデラ氏が「かつてはあなた方のようにとても若い男性で、この国を解放しようとしていた」ことを人々は忘れがちだと続けた。
44のアフリカの国々から参加した200人のリーダーズ・アフリカプログラムの若者たちを前に、オバマ氏は自分の国で変革を成し遂げるよう促し、世界で最も速いスピードで人口が増加している大陸として、アフリカの持つ影響力を強調した。「あなたの野心はどれほどの大きさでしょうか?」と彼は尋ねた。
また、オバマ氏は変革を遅らせる原因となる腐敗や摩擦についても忌憚なく述べた。アングロフォン(英語話者)の分離主義者による運動と、隣国ナイジェリアに拠点を持つボコ・ハラム過激派の脅威により極度に緊張が高まっている、カメルーンの致命的な情勢を例に上げた。
「魂を売らないで済む方法を見つけなさい」とオバマ氏は述べ、政治活動や地域活動への参加、特に女性の参加を促した。
南アフリカ共和国とそれ以外の国々の人々の多くが、マンデラ氏の誕生日である1918年7月18日を祝し、病院を開設したり、毛布を配ったりといったチャリティーを行う。ケープタウンでは、不規則に広がったスラム街の一角に番地を書くことで、医療従事者がHIVや結核を患っている人々の居場所を把握するのを助けた。
しかし、野党指導者で民主同盟のミュシ・マイマネ氏は「教育の失敗が黒人の子どもたちから機会を奪う仕組みの一部である」と述べ、誕生日に象徴的な行動をするのでなく、日頃からマンデラ氏の価値観を実践するべきだと話した。
南アフリカ共和国で27年間牢獄にいた後、マンデラ氏は1990年に釈放され、その4年後に同国で初めての黒人大統領になった。彼は2013年に95歳で死亡した。
マンデラ氏の生誕100周年を記念するイベントは年間を通じて企画されており、12月にはビヨンセとジェイ・Zがメインで出演し、オペラ・ウィンフリーが司会を務めるコンサートが開かれる予定だ。
ビデオメッセージでは、南アフリカ共和国の元大主教のデズモンド・ツツ氏が、マンデラ氏は「人間らしさの最高値を表している」と語った。
「良き指導者は事実が時には間違っていることさえあると熟知し、いつどのように謝るか心得ていなければならない。マディバ(マンデラ氏の愛称)はその精神を豊富に持ち合わせていた」とツツ氏は述べた。ツツ氏はアパルトヘイトを終わらせるために尽力し、南アフリカ人の和解を実現した功績でノーベル平和賞を受賞している。
国際連合の事務総長を務めるアントニオ・グテーレス氏は、マンデラ氏は平等と正義の提唱者として高みにそびえているといくつかの声明で述べた。
「ネルソン・マンデラ氏は何年間もの間囚われていました。しかし過去に囚われたことは一度もなかったのです」とグテーレス氏は言う。「歴史上で彼ほど人々の夢を掻き立て、行動に移させた人はいません」
By ANDREW MELDRUM, Associated Press
Translated by Y.Ishida