数学が得意な人と苦手な人、何が違う? 計算力だけではない「重要な能力」
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数学が得意な人と苦手な人の違いは、どこにあるのだろうか。計算の速さや数字への強さを思い浮かべるかもしれないが、それだけではないようだ。
アメリカのテキサスA&M大学などの研究チームが、数学力と認知能力の関係を分析したところ、論理的に考える力に加え、言葉を理解する力も数学力と強く関連していることがわかった。研究結果は7月、学術誌『Journal of Intelligence』に掲載された。
◆数学力と関連する2つの能力
研究チームは、122種類の標準化検査の技術マニュアルから、認知能力と数学力に関する4万7000件以上の相関データを収集し、統合して分析した。数学の知識や計算力、問題解決能力などと、さまざまな認知能力との関係を調べた。
その結果、数学力と特に一貫して強い関連が見られたのは、「流動性推理」と「理解・知識」という2つの能力だった。
流動性推理とは、初めて直面する問題でも、情報を整理して論理的に考える力を指す。例えば、ルールを知らないゲームに取り組む際、何が重要な情報なのかを見極め、解決方法を考える能力だ。
一方、理解・知識は、言語や語彙、文章の意味を理解し、身につけた知識を活用する能力を指す。一般に読解や文章を書く能力と結びつけられやすいが、数学でも重要な役割を果たしているという。
大学の発表で、研究に参加した教育心理学准教授のダニエル・ハジョフスキー氏は、理解・知識は読解や文章を書くことだけでなく、数学にとっても重要だと説明している。
◆「数の感覚」も重要
ただし、数学の得意・不得意が一般的な認知能力だけで決まるわけではない。
研究では、数の大きさや数同士の関係を理解する「数感覚」や、計算を正確かつ効率的に行う能力など、数学の基礎的な技能も、より高度な数学力を支える重要な要素であることが示された。
例えば、数の関係を理解する力は、複雑な計算や問題解決に取り組む際の土台となる。ただし、数感覚については分析に利用できた検査が少なく、研究チームも結果の解釈には注意が必要だとしている。
ハジョフスキー氏は、こうした能力は教室の内外で発達し、時間や努力によって伸ばしていくことができると指摘している。
◆数学が苦手な子には、どう教えるべきか
今回の研究は、数学が苦手な子供への指導方法にも示唆を与えている。
数学は以前に学んだ内容を土台にして新しい知識を積み重ねていくため、早い段階でつまずきの原因を見つけることが重要になる。
ハジョフスキー氏は、テストの点数だけでなく、子供がどのような間違いをしているかに注目することを提案している。文章の意味が理解できていないのか、論理的な推論が難しいのか、それとも処理の速さに課題があるのか。間違い方を分析することで、必要な支援を見極められる可能性がある。
もっとも、今回の研究が示したのは認知能力と数学力の関連であり、特定の能力を鍛えれば数学の成績が向上するという因果関係を証明したものではない。また、分析対象はアメリカの英語話者に限られており、ほかの言語や文化でも同じ結果が得られるかはわかっていない。
それでも、数学の苦手意識を単純に「数字に弱いから」と片づけず、どこにつまずきがあるのかを考えることの重要性を示す研究といえそうだ。




