読んだら閉じて「思い出す」 専門家が教える「記憶に残る勉強法」
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中間試験が憂うつな人も、授業についていくために懸命に勉強している人も、教科書を読みながらノートを取り、あとからそれを読み返すという勉強法をしていることが多いだろう。蛍光ペンで大事なところに線を引く人もいるかもしれない。
こうした昔ながらの勉強法は、試験直前の詰め込みには役立つこともある。しかし、学んだ内容を長く記憶に残す方法としては、あまり効果的ではないことが分かっている。知識をより効率よく定着させる方法がある。
その一つは、すぐにノートを取るのではなく、まず学んだ内容を頭の中で整理する時間を取ることだ。
「私たちは、楽に感じる方法ほど記憶にも残りやすいと思いがちだが、実際はその逆だ」と、認知心理学者で『Smart Teaching Stronger Learning: Practical Tips From 10 Cognitive Scientists』の著者、プージャ・K・アガルワル氏は話す。
◆よくある「勉強法」の思い込み
SNSには、実際にはそれほど効果がない「勉強法」が数多く紹介されている。勉強中にガムをかんだり、脳を刺激するとしてエッセンシャルオイルの香りをかいだりしても、学習効果は高まらない。音楽を聴くことについても同じだと、アガルワル氏はいう。
「気分は良くなるかもしれないし、眠気を防ぐこともできる。しかし研究では、実際の学習効果が高まるわけではないことが示されている」
蛍光ペンで色を付けたり下線を引いたり、ノートを何度も読み返したりすると、短時間は集中できるため、勉強している実感を得やすい。しかし、長期的な学習には大きな効果がないことも研究で示されていると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の認知心理学名誉教授、ロバート・ビョーク氏は話す。ビョーク氏は妻のエリザベス・ビョーク氏とともに、同大学に学習と忘却を研究する研究室を設立した。
こうした「集中的な反復練習は、かなりの時間の無駄になることがある」とビョーク氏はいう。「効果的な方法で勉強するようになってから、勉強に必要な時間が大幅に減ったと話す学生もいる」
◆あえて「少し難しく」する
楽にできることを繰り返すより、学習するときに適度な負荷をかけるほうが効果は高まるとビョーク氏はいう。心理学では、こうした負荷を「望ましい困難」と呼ぶ。
つまり、思い出すために少し頭を使うことが、あとで情報を取り出しやすくするという考え方だ。
代表的な方法の一つが「想起練習(retrieval practice)」だ。やり方はいくつもあるが、多くの場合、必要なのはわずか1〜2分程度だとアガルワル氏はいう。
文章を読みながらノートを取るのではなく、まず数ページを読む。そこでいったん本を閉じ、何を覚えているかを書き出してから、続きを読む方法だ。
「思い出そうとして頭を働かせること、つまりこの『望ましい困難』が、長期的な学習に役立つ」とアガルワル氏はいう。「研究室でも教室でも数多くの研究によって裏付けられている、最も効果的な学習・指導法の一つだ」
セントルイス・ワシントン大学の認知心理学教授で、学習科学に関する著書『Make It Stick: The Science of Successful Learning』の共著者でもあるヘンリー・L・「ロディ」・ローディガー氏によると、想起練習には、覚えていることを書き出す、勉強仲間に話して説明する、頭の中だけで思い出すといった方法があり、いずれにも効果が確認されている。ただし、頭の中だけで行う場合には注意が必要だ。
「ちらっと見て、『ああ、これは知っている』と思うだけではだめだ」とローディガー氏はいう。「頭の中で内容をきちんと言葉にしてみなければならない」
◆復習する前に、まず1分間思い出す
別の日に同じ内容を復習するときは、教材を開く前にまず1分間、それまで何を学んだのかを思い出してみる。時間があれば、覚えていることをすべて書き出す。アガルワル氏はこれを「ブレインダンプ」と呼んでいる。
そのうえで、自分がどの程度身につけられたのかを振り返る。これは、自分自身の思考や理解について考える「メタ認知」の一種だ。
「最初に学んだとき、何が一番難しかったか」「0から100までで、自分はどのくらい理解できたと思うか」と自問してみる。
「想起練習をさらに一段階進め、効果を高める方法だ」とアガルワル氏はいう。「さまざまな知識同士のつながりを増やすほど、学びは深くなる」
◆まとめて勉強するより、間隔を空ける
文章やノートを読んだ直後にもう一度読み返すと、よく覚えたような感覚になる。しかし、それは「学習したという錯覚」にすぎないことがある。ただし、目の前の試験を乗り切るだけなら、役に立つこともある。
「研究では、詰め込み勉強にも効果があることが分かっている」とアガルワル氏はいう。「ただし、勉強する時期を分散させると、長期的な学習効果が高まる」
例えば、金曜日の試験直前に3時間まとめて勉強した学生は、試験には合格できるかもしれない。しかし、その後、学んだ内容をすぐに忘れてしまう可能性が高い。
一方、同じ3時間でも、月曜日、水曜日、金曜日に1時間ずつ勉強すれば、試験でも良い結果を出し、その後も内容をより長く覚えていられるとアガルワル氏は説明する。
◆「忘れること」も学習の一部
「忘れることに不安やいら立ちを感じる人は多いが、忘れるのは自然なことだと覚えておく必要がある」とアガルワル氏はいう。
少し忘れてから、もう一度思い出そうとする。その過程そのものが学習に役立つ。
そして、徹夜で勉強するのも避けたほうがよい。学習効果を高めるうえで重要なのは、勉強法だけではない。十分な睡眠を取ることで、その日に作られた記憶が定着しやすくなるとローディガー氏は説明する。
「高校生も大学生も、おそらく医学生もそうだが、勉強のために起きていたほうがいいと考え、十分に眠っていない」と同氏はいう。「だが、それは良い方法ではない」
By ALBERT STUMM Associated Press




