GAP、台湾ない中国地図をTシャツにプリントし謝罪 「全市場から回収する」

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 アメリカの衣料品販売店ギャップは今月15日、自治区の台湾を除いた中国地図を誤りだと認め、それを表記したTシャツを販売した旨を謝罪した。これにより、ギャップもまた中国に頭の上がらない企業の一例となった。

 ギャップは、「海外で販売した当社のTシャツの中に、誤って正確な中国地図を表記できていなかったものがあることが判明したため、至急、すべてのグループを対象とした内部調査を実施し、そのTシャツを関係各国の全市場から回収することを決定した」と声明を発表し、そのTシャツはすでに中国の店舗から回収し、破棄したと述べた。

 ギャップは、中国政府が同国の領土とする自治区の島、台湾を表記していないTシャツの画像が、中国のソーシャルメディアで拡散され始めたことを受け、今回の措置を取った。中国の国営紙グローバル・タイムズは、Tシャツの地図にはチベット南部と、紛争中の南シナ海も除外されているようだとし、中国微博(ウェイボー)社のミニブログプラットフォーム、微博で何百件もの苦情が投稿される事態を招いたと報じた。

 グローバル・タイムズによると、拡散された写真は、カナダのナイアガラ地域にあるギャップの店舗で撮影されたものだ。問題のTシャツは、ギャップのウェブサイトでは確認できず、Tシャツが現在も販売されている国があるかどうかは不明だという。

 ギャップは、「意図せずこのような誤りがあったことについて、真摯に謝罪する」と述べた。ギャップは14日遅くに、微博のアカウントで同様の謝罪を掲載した後、同社の広告会社アプコを通し、声明を発表した。

 ギャップは「より厳しい検査」を実施することで同じような出来事が起こらないように努めると宣言し、中国の「統治権と領土保全」を尊重し、同国の法規制を厳密に守ると述べた。

 中国外交部の陸慷報道局長は、北京で開かれた定例記者会見で、中国政府はギャップが謝罪した件を認識しているとし、「同社の今後の言動を、注意深く見守る」と発言した。

 台湾の呉釗燮外交部長は報道陣に対し、中国がギャップを始めとする企業に台湾の扱い方を変えるよう圧力をかけている事態は、「両岸の関係にとっては不幸なこと」であり、両岸の住民の「心」を捉えるどころか、彼らを「よりいっそう引き離す」ことになるだろうと述べた。

 これまで複数の企業が、中国の統治権を軽視していると受け取られたことを謝罪しており、ギャップも新たにそのひとつとなった。

 例えば、デルタ航空や、ホテル運営企業のマリオット、ファッションブランドのザラといった企業が、ウェブサイトや販促資料で台湾、香港、チベットを国と言及したことについて、中国に謝罪した。メルセデス・ベンツは、ソーシャルメディアでダライ・ラマの言葉を引用した件を謝罪した。中国政府はチベットの宗教指導者、ダライ・ラマを否定している。

 アメリカはというと、米航空会社による台湾、香港、マカオの扱い方を統制しようとする中国の動きを、ホワイトハウスが「オーウェル風のナンセンス」と非難しており、中国政府に反発する姿勢を示し始めた。

By KELVIN CHAN, AP Business Writer
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP