ロシア経済、減速鮮明 続かない「成長」、先行きに影
ロシア・イジェフスクのロスネフチ油田にあるポンプ装置(2025年2月)|Smolll / Shutterstock.com
ウクライナとの戦争を続けるロシアの経済の停滞は明らかだが、西側諸国のアナリストたちが予測したような崩壊にはいまだ至っていない。成長を支えてきたのは石油収入と戦争支出で、戦争を継続できるだけの力は維持できていると見られる。しかし経済は確実に不安定化しており、今後深刻な危機に陥るとされている。
◆久々のマイナス成長だが… 制裁でも持ちこたえる
ロシアの2026年第1四半期の国内総生産(GDP)が前期比で0.3%の減少となり、2023年初頭以来となる約3年ぶりのマイナス成長に転じた。ウクライナでの戦争継続、欧米による制裁、記録的な高金利政策などが経済の重しになっていると見られる。
ロシアは2023年には約3.6%のGDP成長率を記録し、制裁後に多くの人々が予測した深刻な景気後退を回避することに成功した。しかし2025年までに成長は急激に鈍化し、GDP成長率はわずか1%にとどまった。IMFの最新報告では、2026年の成長率は1.1%と予測されている。もっとも、ロシアの公的債務は依然として比較的低く、IMFの推計では2026年の一般政府総債務はGDP比で19.1%程度にとどまる見込みだ(日本は200%を超える水準)。制裁は痛手ではあるが、経済を崩壊させるほどではなかったと、欧州外交問題サイト『モダン・ディプロマシー(MD)』は指摘する。
◆支えは資源輸出 成長を牽引するのは戦争
ロシアの主な収入源は、石油・ガスなどの資源輸出だ。2025年には石油・ガス収入は約24%減となったが(ロイター)、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、イラン戦争の影響による原油高で、国際エネルギー機関(IEA)の報告では3月の石油収入が前月比でほぼ倍増したとされ、ロシア政府に支出削減の見直しといった経済的余裕を与えている。もしも石油輸出の好転が続くなら、財政赤字の削減も見込めるという。
ロシアの成長において戦争支出はますます重要になっており、戦争およびその他の軍事支出に対する連邦政府の資金提供はGDPの7.5%に達している。こうした支出が防衛関連産業を維持し、名目GDPを支えているとMDは分析するが、ミサイルなどの製造は生産高を押し上げても将来の繁栄を築くわけではなく、生産的成長ではないと指摘している。
◆労働力不足深刻 現政権下で未来なし
ロシア政府は、経済は堅調と対外的に主張しているが、2022年以降重要な経済指標のいくつかは非公表となっており、正確な経済状況の把握は研究者やアナリストたちにも困難な状況だという。したがって現状言えるのは、ロシアはプレッシャーにさらされているが経済にはまだ回復力があり、特に原油価格が上昇すれば持続可能だということだとMDは述べる。ただ、現在の統制されたバランスが崩れれば、経済危機へと変わる可能性があるとしている。
フォーリン・ポリシー誌は、ロシア経済を最も脅かすものとして労働力不足を挙げる。軍需産業に人手を優先するため、民間経済部門では静かに縮小が進行。もともと1990年代の経済崩壊期に出生率が低下した影響で働き盛りの人口が少ない上に、コロナ禍や戦争で人口は減少し、中央アジアなどからの移民労働者の流入も細ったため、今後の労働力不足という危機に対処できないとしている。
防衛、国際政治などに関するオンラインニュースサイト『19フォーティ・ファイブ』は、経済の再構築には縁故資本主義、汚職、官僚主義などを解消する全面的な改革が必要だと主張するロシアの著名な数学者の意見を紹介。プーチン大統領が退かない限り現状は変わらず、現状が続けば戦争もロシアに有利には進まないだろうとしている。




