広がるカーリングの騒動と不正疑惑の内幕 ミラノ・コルティナ五輪

男子カーリング予選のスウェーデン戦でプレーするカナダのマーク・ケネディ(13日)|Misper Apawu / AP Photo

 冬季五輪のカーリング界で騒動が巻き起こっている。カナダの男女チーム、そしてイギリスの男子チームが、いずれも同じ反則を犯したと非難されている。ストーンを放した後に再び触れる「ダブルタッチ」だ。

 折しも、カーリングの伝統的な強豪国であるカナダは、自尊心が傷つく事態に直面している。混合ダブルスではメダル争いにすら加われず、女子チームも決勝トーナメント進出を狙うならこれ以上負けられない状況にある。

 今回の騒動の全容と、なぜこれが大きな問題となっているのかを解説する。

◆コルティナのカーリングセンターで起きたこと
 13日、スウェーデンのオスカー・エリクソンが、カナダのマーク・ケネディを告発した。氷上にストーンを放した直後、再び石に触れてルールを破ったというのだ。これに対しケネディは、罵詈雑言を浴びせて激昂した。

 しかしその後、スウェーデン公共放送(SVT)が撮影した、ケネディによる明らかなダブルタッチを捉えたと思われる映像がSNSで拡散された。それでも彼は無実を主張。試合は8-6でカナダが勝利した。

 14日の夜には、審判がカナダの誇る名スキップ、レイチェル・ホーマンに対し、スイス戦で同様の反則があったと指摘した。審判はプレーを止め、ストーンは除外された。ホーマンはショックを受けた様子で、その疑惑を否定した。

 ここでも、彼女がダブルタッチをしたように見える映像がSNSに広まった。結局、カナダは7-8でスイスに敗れた。

 さらに15日、予選リーグのイギリス対ドイツ戦の第9エンドにおいて、イギリス代表のボビー・ラミーがストーンを放した後に触れたと公式に判定された。

◆ダブルタッチに関する規定
 騒動を受け、統括団体ワールドカーリングは「ダブルタップ(二度打ち)」は認められないとの声明を出し、ルールを明確化した。「前進運動中にストーンのグラナイト(花崗岩)に触れることは許可されない。これに抵触した場合、そのストーンはプレーから除外される」

◆カナダ側の主張
 映像について問われたケネディは、「もし誰かに『いつもダブルタッチをしているのか?』と聞かれても、正直なところ、あの瞬間のことは自分でもやっているのかどうか分からない」と語った。さらに彼は、一連の出来事が「我々を陥れるための計画的な企て」である可能性を示唆した。「彼らは、チームが反則をする現場を押さえるための計画を立てていたのだ」とケネディは主張する。

 一方、ホーマンは、男子サイドでの騒動のせいで自分たちが不当に標的にされたのではないかと推測した。「あの判定は理解できない。一生理解できないだろう。私たちはそんなことは一度もしていない。私たちとは無関係な話だ」と彼女は語った。

◆なぜこれが大きなニュースなのか
 カーリングは激しい競争の一方で、穏やかな連帯感を重んじるスポーツだ。過去にスキャンダル(昨年6月に解決したとされるブラシの加工を巡る「ブルームゲート」など)はあったものの、不正疑惑が浮上するのは極めて異例なことだ。

 また、カナダはカーリング界の頂点に立つ国であり、市場としても最大で、五輪以外の主要大会の多くも同国で開催される。尊敬と友情の価値を掲げるオリンピックという舞台で、世界中の観衆の前で誠実さを疑われたことに、カナダ側は憤りを感じている。

 カナダとスウェーデンの選手たちは、氷上では宿敵でありながらも、氷を離れれば互いのスキルを認め合う親しい仲だった。しかし今、両チームの間には明らかな敵対心が生まれている。これは一般の視聴者にとっては興味をそそる展開だが、カーリングコミュニティにとっては大きな打撃だ。

◆今後の展望
 カナダのカーリング選手たちは、冬季五輪の最中に望ましくない状況に追い込まれている。技術に疑問符を投げかけられ(ケネディは「必要ならリリースの仕方を調整する」と述べている)、さらにはメダル争いに残るために必死の挽回を強いられている。

 ケネディは、14日に行われたスイス戦(格下と見られていたスイスに5-9で敗北)で、カナダの4選手の中で最も低いショット成功率を記録した。

 現在、両チームに注目が集まっている。カナダ男子は、両者が勝ち進まない限り準決勝までスウェーデンと対戦することはない。もし再戦が実現すれば、カーリングファンならずとも見逃せない一戦となるだろう。

By JULIA FRANKEL and STEVE DOUGLAS Associated Press

Text by AP