会員4800万人、成長するApple Musicに新リーダー iTunesストアは終了に?
今や音楽ビジネスの主戦場となりつつある定額ストリーミングサービス市場において、新たな動きがあった。同市場においては後発組のアップルが、同社の音楽サービスApple Musicの新しいトップを任命したのだ。この新しいリーダーの経歴から、同社が描く音楽ビジネスの未来がうかがえる。
◆企業買収も手がけた新リーダー
エンタメ系雑誌バラエティ(電子版)は4月11日、Apple Musicおよび国際的コンテンツ部門のバイス・プレジデントにオリバー・シュサー氏が就任したことを報じた。14年前からアップルで働いている同氏は、今までにアメリカ国外におけるアプリストア、iTunesにおける映画とテレビ・ポータル、iBooks、そしてポッドキャストといったコンテンツ部門を率いてきた。同氏は、鼻歌やスピーカーから流れる音楽から楽曲を特定するアプリ楽曲認識アプリ「Shazam」を開発するシャザムの買収を主導した人物としても知られている。
同誌によると、現在Apple Musicの有料会員は115ヶ国に4,000万人おり、さらには800万人の無料会員がいる。また、同社が買収したヘッドフォンメーカーのビーツの創業者で同社の音楽ビジネスに深く関わっているジミー・アイオヴィン氏の立場は変わらない、とも伝えられている。
◆音楽ビジネスに足りないもの
今回のApple Musicの新人事を受けて、CNBCは、シュサー氏の経歴に着目したうえで、現状は別個のビジネスとして展開している音楽やテレビ・コンテンツとAIテクノロジーを統合する「ミッシング・リンク(失われた環)」を埋める役目を同氏は担っているのではないか、と評している。そして、近年アップルはアップルTVやホームポッドといった新規ビジネスを担う製品を次々とリリースしながら、今一つの評判であることも指摘している。
また同記事では、Apple Musicを含む同社のインターネット・ソフトウェアおよびサービス部門の直近四半期の売上が85億ドル(約9,000億円)にのぼり、同社CEOのティム・クック氏が、同部門の売上を2020年までに2倍にしたいと発言したことも報じた。
◆iTunesはどうなる?
Apple Musicが成長する一方で、気になるのが音楽ダウンロード・サービスをけん引してきたiTunesの動向である。音楽ニュースサイト『EDMTunes』によると、Apple Musicが成長していることを受けて、アップルがiTunesを終了させる日も近いのではないかという噂が絶えないという。そんな噂に対して、Apple Musicの最高幹部であるアイオヴィン氏は「率直に言わせてもらえば、iTunesが終了するのはひとびとがiTunesから買うのを止めたときだ」とコメントしている。
同記事は、同社がiTunesのサービスの一部を終わらせることに着手するであろうが、ユーザは過去に購入した音楽コンテンツを使い続けられるだろう、と推測している。そして、iTunesにおけるダウンロード販売機能が削除されるという変化は起こるかも知れないが、iTunes自体は何らかのかたちで存続することが望まれている、という見解を示した。