日産リーフ、米で評価逆転「徹底的に魅力的」「自動車版シンデレラストーリー」

日産自動車

 初代日産リーフが登場したのは2010年。当時は航続距離が約117キロにとどまり、「失敗作」とも評された。それから15年。第3世代の発表を受け、アメリカの自動車メディアは「ついに正解を見つけた」「徹底的に魅力的なEV」と称賛している。

◆「EVの荒野で15年」ついに正解を見つけた日産
 電気自動車(EV)の先駆者「リーフ」の歴史は、失敗から始まった。2010年12月、日産リーフは主流メーカーによる量産EVの先駆けとして登場したものの、73マイル(約117キロ)という短い航続距離に加え、充電インフラがほぼ皆無だったことで消費者の購入意欲を大きく損なった。米自動車専門誌カー&ドライバーは、初代について「失敗作だった」と振り返る。

 それから15年がたち、第3世代リーフがついに誕生した。同誌は「EV市場という荒野で15年間さまよった末に、EV普及の先駆けとなった車が、ついに成功への正しい方程式を見つけた」と評価。新型は「徹底的に魅力的なEV」であり、日産は「救済を達成した」と断言した。

 価格競争力も際立つ。アメリカのEV専門メディア、インサイドEVは新型リーフを、「長距離EVを手に入れる最も手頃な方法」と評している。送料込みで3万1485ドル(約500万円)からという価格設定は、新車市場では平均価格が5万ドルを超えるとも言われるなか異彩を放つ。

◆最大303マイルの航続距離「期待以上のプレミアム感」
 新型リーフの実力を象徴するのが航続距離だ。カー&ドライバーによると、ベースグレードで米環境保護庁基準の推定航続距離303マイル(約488キロ)を達成した。発売予定のGMのシボレー・ボルトを約50マイル上回り、電動サブコンパクトSUVでトップ級に立つ。

 この数値は、75kWhバッテリーと空力性能の改善によって実現した。さらに、急速充電では、100マイル分の走行距離をわずか13分で確保できる。同誌はこれを「スターバックスに立ち寄る程度の時間」と表現している。

 また、「安かろう悪かろう」ではない。インテリアの質感は、価格帯から想像される水準をはるかに超える。同誌は14.3インチの大型タッチスクリーンや上質な合成皮革シートなどに触れ、「キャビンの雰囲気は期待を上回る上質さだ」と評価する。アクセルペダルひとつで加減速を行えるワンペダルドライビング機能も直感的だと評価した。

 日産公式サイトの仕様表によると、最上位グレードのプラチナムプラスでは、調光式パノラマルーフやBose製オーディオなどに加え、360度アラウンドビューモニターを含む装備が用意される。

◆「シンデレラストーリー」を生んだ引き算の芸術
 新型リーフの武器は「個性」だ。インサイドEVは、「肩の力が抜けた、数少ないEVのひとつ」と評する。1990年代の日産300ZXを思わせるテールライトや大胆なツートンカラーなど、レトロな要素が随所に光る。「大型車の成熟度を備えながら、小型車の遊び心と手頃さを兼ね備えている」と同誌は総括した。

 アメリカの自動車評価メディア、ケリー・ブルー・ブックは、新型のデザインを「自動車版シンデレラストーリー」と表現する。過去2世代のモデルが「不格好なハッチバック」だったのに対し、新型はSUVを思わせる力強い存在感を手に入れ、まるで別の車のように変身を遂げたという評価だ。シーブリーズブルーパールと黒ルーフのツートンカラーは「本当に目を引く」と評され、上位グレードのプラチナムプラスのみに採用される3Dシグネチャーテールライト(立体的で特徴ある形状のリアランプ)は、日産Zを彷彿とさせるスポーティな雰囲気をまとっていると記事は述べる。

 デザインの個性を追求しながら、実用性も犠牲にしない新型リーフ。寂しいニュースの続いた日産だけに、アメリカでの高評価は心強い。

Text by 青葉やまと