実は逆!心理学が示す「人に好かれる方法」 仕事・恋愛で効く人間関係の法則
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人に好かれるには、むしろ相手に頼みごとをすることが効果的だという。アメリカ建国の父ベンジャミン・フランクリンも活用したとされる人間関係の法則が、現代の心理学でも実証されている。
◆手伝った相手を好きになる
あなたに親切にしてくれた人と、あなたに頼みごとをしてきた人。一般的に、どちらを好きになりやすいだろうか。
米タイム誌によると、答えは「頼みごとをしてきた人」だという。直感に反するように思えるが、「フランクリン効果」と呼ばれる心理学上の現象として知られている。
1969年、心理学者ジョン・ジェッカーとデビッド・ランディは、この現象を裏付ける心理実験を行った。学術コンテストで賞金を獲得した人々のうち、賞金を返すよう研究者に頼まれた集団は、そのまま賞金を持ち帰った集団よりも、研究者への好感度がはるかに高かった。
なぜこうした逆説が生じるのか。米フォーブス誌によると、「認知的不協和」が関連している。それまで好きでも嫌いでもなかった相手を助けたとき、脳は理由づけを始める。「嫌いな人のために行動するはずがない。きっと好きなのだ」と。こうした無意識の思考が、フランクリン効果を生み出す要因の一つだと考えられている。
◆ビジネスと政治での成功事例
フランクリン効果は、実にさまざまな場面で応用できる。
タイム誌によると、レイズ・ポテトチップスは2012年、「Do Us a Flavor(お願いがあります)」キャンペーンを実施し、消費者から新フレーバーの提案を募った。応募は400万件近くに達し、選考を通過したチージー・ガーリック・ブレッド味が商品化された。キャンペーン後、売上は急増した。同誌は、こうしたいわゆる「エンゲージメント(顧客との結びつき)」も、フランクリン効果の一種だと説明する。
名前の由来となったベンジャミン・フランクリン自身も、この手法を大胆に活用した。独立戦争中に駐仏代表を務めていた彼は、フランスに軍事・財政支援を次々と要請。その際、フランスのメリットを説くのではなく、道義的に価値があるのでぜひ助けてほしいと訴えた。フランスは最終的には全面的に支援し、アメリカの独立を後押しした。
心理・自己啓発分野のオンラインメディア『ユアタンゴ』は、2020年の研究を紹介し、人は頼みごとを断ることのコストを過大評価しがちで、そもそも「ノー」と言いづらいと説明する。頼みごとをされると、たいていの人は「はい」と答えてしまうのだ。
◆同僚や友人との関係を深めるために
この法則は、日常のあらゆる場面で応用できる。
フォーブス誌は、職場で同僚に簡単なアドバイスを求めるだけでも、相手との距離が縮まると指摘する。人は誰かを助けると、その相手に時間を費やしたことから、相手の成功に対してまるで自分の成功のように共感しやすくなる。
友人や恋人との関係でも同様だ。小さな頼みごとから始め、コーヒーを淹れる、引っ越しを手伝うなど、関係に応じた頼みごとをする。すると相手は「きっと自分は好きだから手伝っているのだ」と認識する。
ただし、一方的に助けてもらうだけでは、相手は不満を募らせるだけだ。恩返しを忘れず、相互に頼り合える関係を作りたい。




