グローバルM&A公表件数、前年比最大10%増加予想 2018年上半期
金融テクノロジープロバイダーのイントラリンクスは、2018年上半期のグローバルな合併・買収(M&A)取引公表件数が2017年上半期に比べて最大で10%増加する見込みであると発表した。この結果は、将来のM&A公表の指標となるイントラリンクス・ディール・フロー・プレディクターによるもので、今後6ヶ月でM&A取引公表件数が最も増加する業界は消費者向け製品/小売、工業、および医療分野と予想されている。
イントラリンクスの戦略ビジネス開発担当バイスプレジデントのフィリップ・ウィチェロは、次のように述べる。
「金融市場の最近の乱高下にもかかわらず、世界規模での経済成長、低インフレ率、低金利、コーポレート・エクイティおよびプライベート・エクイティによる豊富な資金供給による押し上げにより、ディールメイキング環境は引き続き下支えされています。また、最近の株式市場の調整が、M&Aの対象になる企業の評価を高める要因になっていると思われます」
各地域の動向予測は以下の通り。
EMEA(欧州/中東/アフリカ)
EMEAにおける2018年上半期のM&A取引公表件数は前年同期比で2%減から8%増の範囲で、平均で約3%増加する見込み。今後6ヶ月で最も成長すると予想されるのは、中東・アフリカ、東欧、北欧の医療、材料、消費者向け製品/小売分野。フランスでは、過去6ヶ月で初期段階M&A活動の伸び率が7%上昇しており、2018年上半期の取引公表件数は回復する見込みだ。一方、ドイツでは、過去6ヶ月で初期段階M&A活動が18%下落しており、2018年上半期の取引公表件数は前年同期を下回り、さらに落胆する結果になると予想される。英国では、過去6ヶ月で初期段階M&A活動が4%上昇し、2018年上半期の取引公表件数は緩やかに増加する見込みだ。
APAC(アジア太平洋地域)
アジア太平洋地域における2018年上半期のM&A取引公表件数は前年同期比で7%増から21%増の範囲で、平均で約14%増加する見込み。今後6ヶ月で最も成長すると予想されるのは、北アジア(中国、香港、韓国)、インド、東南アジア、オーストラリアのエネルギー/電力、工業、材料分野。日本を除いたアジア太平洋地域では、初期段階M&A活動の公表件数が2桁の成長を示すと予想される。
LATAM(中南米)
中南米における2018年上半期のM&A取引公表件数は前年同期比で16%減から9%増の範囲で、平均で約4%減少する見込み。今後6ヶ月で最も成長すると予想されるのは、ペルー、メキシコ、ブラジルの金融、医療、TMT(テクノロジー、メディア、電気通信)分野。
NA(北米)
北米における2018年上半期のM&A取引公表件数は、2017年上半期に高い実績を挙げていたことから、前年同期比で14%減から3%増の範囲で、平均で約5%減少する見込みだ。今後6ヶ月で最も成長すると予想されるのは、工業、医療、医療、TMT分野。現在、M&A市場が好調な要因には、北米の安定した財政およびビジネス状況、ならびに消費マインドの上昇が挙げられる。米国の企業および個人税制を徹底して見直す法案が昨年12月に米国連邦議会で可決されたことで、今後、北米の経済成長を促し、M&A活動も活発になると予想される。