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出身者が「戻りたい」都道府県ランキング Uターン意欲調査

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出身地を離れて暮らす人たちは、どれくらい「いつかは地元に戻りたい」と考えているのか。地域ブランド調査などを行うブランド総合研究所は、インターネットを使った「関係人口の意識調査2023」の結果から、各都道府県出身者のUターン意欲を分析している。

出身地とは別の都道府県に住む6673人に「出身県に将来的に戻りたいと思いますか」と問い、「すぐにでも戻りたい」「いつかは戻りたい」「戻ってもよい」「どちらとも言えない」「あまり戻りたくはない」の5つから選んでもらったうえで、「すぐにでも戻りたい」を100点、「いつかは戻りたい」を50点、「戻ってもよい」を25点として加重平均した指標を「Uターン意欲度」と定義し、都道府県別のランキングを作成している。

本記事では、このUターン意欲度ランキングで20位から1位に入った都道府県について、それぞれの数字の背景にある進学や就職の流れ、仕事や暮らしの環境、受け入れ体制などをたどっていく。

◆20位 山形県 19.5点

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山形県は、進学や就職を機に仙台や首都圏へ出る人が多い一方で「いずれ地元に戻りたい」と考える出身者も少なくない。

雪国ならではの季節の行事や温泉、米どころ・果樹産地としての食の豊かさ、満員電車とは無縁の通勤環境など、外に出てはじめて気付く魅力が多い地域だ。県内には山形市や鶴岡市などの中核都市があり、製造業や医療・福祉、研究開発拠点など専門スキルを生かせる職場も広がりつつある。結婚や子育て、親の近居をきっかけに「暮らす場所としての山形」を見直す動きもじわりと出ており、行政や企業が移住相談や就職マッチングの仕組みをどこまで整えられるかが、Uターンの背中を押す鍵になりそうだ。

◆19位 秋田県 19.7点

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秋田県は、進学や就職で仙台や首都圏に出る人が多い一方で、地元への帰属意識が強い地域だ。今すぐに戻るというより、Uターンを考えるタイミングとしては結婚や子育て、親の近居など人生の節目をイメージする人が多いとされる。

豪雪や仕事の選択肢の少なさなど暮らしのハードルはあるが、米づくりや林業、日本海側の港町に根ざした仕事に加え、秋田市を中心に医療・福祉や製造業の雇用も広がる。首都圏でスキルを磨いた若い世代が「実家の近くで自然に囲まれて暮らしたい」と思ったとき、地元側がどこまで情報発信や就職マッチングの仕組みを整えられるかが、Uターンの実現度合いを左右しそうだ。

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Text by 切川鶴次郎