各紙は税制をどう報じたか―軽減税率要求と道路財源化への批判が中心―
24日、自民・公明両党が2013年度税制改正大綱を決定した。読売新聞によると、増税項目と減税項目の差引で2700億円規模の減税となるという。主なポイントは下記の通り。
・消費税の軽減税率について、14年4月の導入は見送。15年10月の10%引き上げ時に導入目指す
・自動車取得税は15年10月に廃止、自動車重量税は減税し、「道路の維持管理や更新などの財源」に
・住宅ローン減税を17年末まで延長。年間最大40万円に倍増
・給与/雇用を増やした企業への法人税減税
・所得税、相続税の増税
各紙はそれぞれの視点から、ポイントを絞って税制を評した。
朝日新聞は、自動車重量税が「道路特定財源」復活となることを懸念し批判している。自民党は一般財源だと強調するが、大綱には、重量税は「道路の維持管理や更新などの財源と位置づけ」ると書かれており、実質的には特定財源だとみている。これに関して3つの問題点を指摘した。まず、旧道路特定財源のように、既得権化してムダ遣いの温床になることへの懸念。次に、財政再建に不可欠な、予算編成の効果検証・最適化というプロセスに反すること。最後に、税収を道路整備に充てることによる環境対策面での疑問だ。
産経新聞は、「軽減税率は早期導入が筋」と題し、低所得者対策として食料品や新聞などへの早期適用を強く求めた。食料品の税率が8%に上がれば欧州主要国よりも税率が高くなること、低所得者対策としての現金給付は「ばらまき」であることが、早期導入を求める理由として挙げられている。
ただ、上記を除いた全体の方向性については評価している。具体的には、企業の投資・雇用を後押しする減税措置、個人金融資産1500兆円の6割を占める高齢者(65歳以上)から孫への贈与減税、住宅ローン減税など消費者負担軽減措置を挙げた。自動車重量税が特定財源として活用されることについては、改革に逆行するとして批判した。
読売新聞も、軽減税率の早期導入・新聞への適用を主張した。企業の手続き増という問題には触れつつも、「消費増税への国民の理解を得る」ために早期導入が必要で、「民主主義を支える公共財」の新聞も対象とすべきと論じた。
自動車課税については、減税を求める業界と、税収確保を求める地方自治体双方に配慮した「玉虫色」の決着と批判。ガソリン税も含め制度が複雑すぎるため、簡素化することが重要とした。全体的に一定の評価はしつつも、「その場しのぎの対応では、日本経済は活性化しない」「所得・資産・消費で均衡のとれた負担のあり方を探るべき」という原則論からの批判を展開している。