「予想しなかった劇的進化」新型日産リーフ、試乗した米メディアから称賛の声「教訓を活かした」

Nissan

 日産は2026年型リーフをアメリカで今秋に発売する。新型リーフを試乗したアメリカの自動車メディアから、「誰も予想していなかった劇的な進化」(ドライブ誌)など、驚きと称賛の声が相次いでいる。15年前に量産電気自動車の先駆者として登場したリーフだが、今回の全面刷新で「真に新しいリーフ」へと生まれ変わった。

◆劇的に進化した新型は「真に新しいリーフ」
 新型リーフを一日かけて試乗した米ドライブ誌の記者は、その印象を「シンプルでありながら完成度が高い、それが2026年型日産リーフの感触だ」と表現した。サンディエゴから、エスコンディード、ラモナ、ジュリアンまでを走破した同記者は、走行可能距離だけでなく、運転がいかに「楽で楽しい」ものだったかに感銘を受けたという。

 同誌は新型リーフの特徴を「落ち着きがあり、しっかりとした構成で、遊び心も備えた実力派」と評価。試乗を終えた記者は、「2026年型日産リーフは、思慮深く実現されたシンプルさが、いかに力強いものになりうるかを証明している」と結論づけた。

 米カー・アンド・ドライバー誌は、今回の変更の意義をより大局的な視点で捉えている。同誌は「真に新しいリーフ」とのタイトルで取りあげ、航続距離(EPA基準)がわずか117キロだった初代リーフからの進化に着目。「2026年型日産リーフは、学んだ多くの教訓を取り入れた、白紙からのリセットだ」と位置づけている。

◆価格にも嬉しい驚き
 新型リーフは、価格設定でも米自動車誌を驚かせている。2026年型リーフ(S+)のMSRPは2万9990ドル(輸送費・手数料等別)で、日産は「アメリカで現在購入できる新車EVで最も低いMSRP」と説明している。カー・アンド・ドライバー誌は、2011年の初代が3万4570ドルだったことを踏まえ、2026年型のベース価格がそれを下回るのは「驚くべき達成」だと評価している。同誌は、新型が大衆向けの買いやすさに引き続き焦点を当てている証左だと述べた。

 米モータートレンド誌も価格競争力を高く評価。記者は、日産が「より多くの航続距離、ユーザーに余計な負担をかけないシームレスな体験、そして運転の楽しさ」という顧客の要望を15年かけて学んだと分析している。

◆運転の楽しさへの評価は二分
 ドライビングの心地よさについては、メディア間で評価が分かれた。モータートレンド誌は辛辣な評価を下している。「前のリーフは特別楽しくドライブできるものではなかったし、2026年型もそうではない」と断言。ワインディングロードでの試乗では、「ステアリングは曖昧で入力への反応が遅く、サスペンションはコーナーに傾き込み、バンプでは上下に揺れ、二次的・三次的な動きを引き起こし、しばしば車体の震えに発展する」と詳細に問題点を指摘した。ただし同誌は、都市部や郊外の走行ではより良好だとも認めている。

 一方、ドライブ誌は運転の楽しさを積極的に評価している。特に回生ブレーキシステムについて、ステアリングホイールのパドルを使い、回生ブレーキのレベルを変更できる機能を高く評価。同誌記者は「パドルシフターのように扱い、ガソリン車でダウンシフトしているような感覚をほぼ感じることができた。エネルギー回収のコントロールを驚くほど遊び心のあるものにした」と、予想外の楽しさを強調した。

 新型リーフに極端にスポーティな走りは期待できないが、日常用途では非常にお得な新型車と言えそうだ。

Text by 青葉やまと