日本人男性の半数以上、自社に男親の育休制度があるか知らず アジアで突出

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 グローバル人材会社ヘイズは、アジア5カ国・地域での女性活躍推進に関する調査を実施した。女性活躍推進の鍵を握る項目の一つである「男親の育児休暇」について、様々な課題が浮き彫りとなった結果であった。

◆自社に男親の育児休暇制度がありますか?
 調査では、「自社に男親の育児休暇制度がありますか?」と制度の存在有無を質問している。「知らない」と回答した割合は、日本の男性53%であった。男親が育児休暇を取れるかどうかすら半数以上が「知らない」という結果は、他のアジアの国々と突出している。なお、「知らない」と回答した割合は、中国の男性は10%、香港で26%、シンガポールが17%、マレーシアが8%と少数派だ。なお、日本の女性に同じ質問をしたところ、半数近くの45%が「知らない」と回答している。この割合も他のアジアの国々と比べ突出して高い。

◆なぜ男性は育児休暇を取らないのか
 男性が育児休暇を取らない理由として、「男性が育児休暇を取るとキャリア放棄と思われる」と回答した割合は男性が29%、女性が44%だったという。こうした調査の結果について、ヘイズの日本代表、マーク・ブラジ氏は次のようにコメントしている。

「日本では52週もの男性の育児休暇(有給)があり、これは世界に目を向けても最長クラスとなります。それにもかかわらず、男親の育児休暇取得は3%と、世界でも低くなっています。

 男親が育児休暇を取る事への「周りの目」や、年功序列の評価制度において、キャリアにブランクを作る事が今後のキャリアに支障をきたすと考えられるなどの要因が背景として考えられます。

 政府は、2020年までに男親の育児休暇取得率を13%に押し上げる事を目標としていますが、意識改革や評価制度の改革などを様々な改革を早急に進める必要があるでしょう。企業側も、制度を『絵に描いた餅』で終わらせることがないよう、社内へのコミュニケーションを徹底すべきです」

 男性の育児休暇制度自体の存在が従業員に意識されていないのが日本の現状のようだ。まだまだ男性が育児休暇を取ることが当たり前になるには、雇用主だけでなく従業員の双方でマインドチェンジを促していかなければならないだろう。

Text by 酒田 宗一