ビール飲用者は蚊に好まれる 3割強差、オランダ研究(査読前)

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 オランダの研究チームが音楽フェス「ローランズ(Lowlands)」での現場実験を解析し、ビールを飲んだ人は飲まない人に比べ、蚊に好まれやすい傾向が約3割強高いと報告した。結果は生物学の査読前論文サーバー「バイオアーカイブ(bioRxiv)」に8月21日付で公表された。

 実験は2023年8月18〜20日にオランダ中部ビッディングハイゼンで開かれたローランズの会場で実施し、研究チームはコンテナを連結した“ポップアップ実験室”を設けた。来場者は質問票(飲酒、衛生、就寝状況など)に回答し、蚊を入れたケージに前腕を近づけて反応を測定。ケージには細かな穴があり匂いだけが通るため刺されない。反応はカメラで記録し、質問票の回答と突き合わせた。

 解析対象は465人。ビールを飲んだ参加者は、飲まない人より蚊に引き寄せられやすい傾向が有意に高かったほか、前夜に他者と同じベッド(テント)で寝た人でも差が出たという。

 さらに、直近にシャワーを浴びていることや日焼け止めを使っていることは、蚊の引き寄せを弱める方向に働いたとされる。生活習慣が体臭などの匂いの成分に影響した可能性があるとしている。研究チームは結論部で、「われわれの中の快楽主義者を蚊は好むらしい」と記している。

 著者らは、緩い統制環境とフェス来場者への選抜バイアスを明記しており、結果の一般化には注意が必要だ。

(注)この研究は査読前のプレプリント(bioRxiv、2025年8月21日公開・v1)。結論は暫定で、査読や改訂により変更される可能性がある。

Text by 白石千尋