女性リーダーの多い企業は業績が良好 道を切り開く女性のための秘訣とは?

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 女性の地位向上が叫ばれて久しいが、ビジネスや政治の世界では男性指導者の存在が目立つ。フォーブス誌によると、フォーチューン500社のうち、女性のCEOはわずか2.4%だ。だが、ひとたび女性が組織の要職に選出されると、企業の業績の向上や国民の意識向上など目立った効果があるようだ。女性の登用は日増しに広まっているが、女性リーダーに求められる資質とは何だろうか?

◆組織全体を活性化する女性リーダー
 女性の幅広い登用について、古くは女性個人の権利のためという意識が支配的だった。しかし近年では、組織や社会全体に対してメリットが大きいことが分かってきている。ポジティブ・ロール・モデルと多様性がキーワードだ。

 BBCは、インドで行われている社会実験を紹介している。それによると、1993年以降、毎年ランダムに選ばれた3つの村で、女性のリーダーが選出されてきた。その上で、村内の親たちに対し、男児と女児にそれぞれどれほどの教育水準を望むかを聞き取り調査した。結果、女性がリーダーを務める村では、男児と女児に望む格差が25%も減少したとのことだ。女性リーダーがポジティブ・ロール・モデルとなり、「女子は教育を受けなくても良い」という人々の意識を改革したとみられる。

 女性リーダーは企業にも好影響を与える。フィナンシャル・タイムズ紙によると、組織内に女性リーダーが30%以上いる企業は、そうでない企業と比べて、純利益率が最大6%ポイント高い。チームに多様性を持たせることで、ビジネスの成果が向上したと見られている。女性リーダーは、世界のさまざまな組織でポジティブな効果を生んでいるようだ。

◆リーダーとして生き抜く秘訣は?
 重要なポジションへの女性の登用は徐々に広まっている。では、今後リーダーを目指す女性には、どのような資質が求められるのだろうか? フォーブス誌は、ステレオタイプに打ち勝つ強さを挙げている。ビジネスの場は残念ながら依然として男性中心であり、偏見が残るためだ。また、女性は妊娠や産休など、職場で不利になり得ることを経験する可能性がある。そのため、仕事への集中の機会が劣るという見方を払拭すべく、職務への自信と決意を示すと良いと同誌はアドバイスしている。

 一方、ハフポストの指導はややユニークで、胸式呼吸を腹式に切り替えるよう勧めている。これにより、会議などで自信を感じさせるスピーチができるとのことだ。また、同メディアでは、昇進について熟慮することも大切だとしている。女性には滅多にない機会だと飛びつかず、自身のビジョンに沿った役職かを冷静に判断してほしいとのことだ。本来は「女性リーダーだから」という資質など考えなくて良い状態が理想ではあるが、不平等な環境を生き抜く上では有意義な指針となるかもしれない。

◆組織側の努力も不可欠
 リーダーを目指す個人の意識も大切だが、それを受け入れる側の体制もまた不可欠だ。フィナンシャル・タイムズ紙は、女性リーダーが多い企業は業績が良いという先述のデータに基づき、女性を軽視している企業は結果的に損失を生んでいると指摘する。女性の登用はもはや社会的責任を示すパフォーマンス行為ではない。成功している多国籍企業においては、重要な企業戦略の一環となっているようだ。

 また、女性がひとたび組織のリーダーとなった場合は、後進のための道を開いてほしいとフォーブス誌は訴えている。ビジョン、忍耐、共感、情熱などの面において、女性の指導者は男性指導者と等しい資質を備えている。そこで、未来の女性リーダーを生み出せるような職場環境を整えるべきだとのことだ。

 もはや女性リーダーは、企業や社会にとってかけがえのない存在になりつつある。次々と後に続く人々が生まれるよう期待したい。

Text by 青葉やまと