日本経済の復活はアベノミクス継続次第? 衆院選を鍵と見る投資家と海外
日経平均が21年ぶりに高値を付けた。これまで何度も景気回復かと謳われた時期はあったが、本格的な回復はならなかった。しかし今回こそは、ここ数年緩やかに続いていた兆候がさらにハッキリとしたものになっており、景気は回復に向かうと感じている向きも多い。
◆世界的な景気回復?
この日経平均高値のニュースを受けて、アメリカ・韓国両国の株式市場もここ数週間のうちで新たな高値を付け、世界的に長年にわたる危機と低迷を乗り越えたようだと伝えているのがニューヨーク・タイムズ紙だ。同紙は「しかし日本が1980年代後半のバブル期に達成した水準の高さまで到達するにはまだ時間がかかる」として大和総研グループのチーフエコノミスト、熊谷亮丸氏のコメントを紹介し、企業は新たな設備投資などを始めているが日本には依然として(バブル期から残っている)過剰設備が残っているため成長のスピードは控えめであり、賃金と価格の上昇を語るには時期早尚であるとする。
そしてその他の不確定要因として、22日に投開票が行われる2017年の衆院解散総選挙がある。この選挙において与党が勝利することを前提に起こっていると思われるこの高値は、投資家たちがアベノミクスはあと4年続かないと判断すれば、つまり、野党が優勢という状況になった場合は値崩れを起こす可能性を残している。
◆アベノミクス、日本の救世主となるか
どの政策にも言えることであるが、アベノミクスにも賛否両論ある。一連のスキャンダルから各社の調査では安倍晋三内閣を支持しないという世論が目立つ。しかし、政党支持率でいえば自民党がトップ。日本経済新聞社が10・11日に実施した序盤情勢調査では、自民、公明両党が300議席に迫る勢いだ。
サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙で20年以上にわたってアジアの政治経済を観察してきたトム・ホランド氏は、同紙で「過去、何回も回復の兆しを見せてきた日本の景気がついに回復するという可能性を示す初期兆候が見えている。(中略)安倍氏が2週間後の選挙で勝利すれば、今後4年のアベノミクスは最終的に日本の経済成長を長期的な成果に導くのに十分なはずだ」と書いている。アベノミクスは日本の景気回復に必要な刺激剤だとホランド氏は説いている。
◆多くの案件を抱える日本の希望を託せるのは誰?
北朝鮮との間のさらなる緊張に加え、11月に控えたトランプ大統領の訪日。また、日本の信用を揺るがしかねない神戸製鋼のデータ改ざん問題など注目が集まる日本。これまでの政治に一石を投じるかと思われた希望の党に対する国民の期待感も薄れている今、国民は安倍氏に対する不満があっても、アベノミクスに日本の本格的な景気回復の希望が託されていると世界は見ている。