スリランカで仏教僧らがロヒンギャ難民を襲撃 「仏教徒を殺したテロリスト」
【コロンボ、スリランカ・AP通信】 国連難民高等弁務官事務所は先月27日、スリランカで暴徒がイスラム教徒ロヒンギャ難民を襲撃したことについて、懸念を表明した。スリランカ政府の指導者らは、仏教僧を始めとする暴徒に厳格な法的措置を求めている。
先月26日、仏教僧の率いる集団が、国連の運営するイスラム教徒ロヒンギャの保護施設を襲撃した。暴徒らは施設に保護されているロヒンギャがテロリストであると主張し、ミャンマーへの送還を要求。警察に施設からロヒンギャを移動させるよう迫った。スリランカで大多数を占める仏教徒のコミュニティーから、ロヒンギャの保護に抗議を訴える数十名が群衆を率い、スリランカの首都近郊マウントラバニアにある数階建ての保護施設に突撃した。
国連難民高等弁務官事務所は声明を発表し、26日の襲撃事件に「危機感と懸念を抱いている」と述べ、「市民及び難民問題を懸念するすべての人々が、引き続き保護を広め、迫害され暴力にさらされている市民への共感を示す」ようを求めた。
警察は26日に子ども17名を含むロヒンギャ難民31名を保護し、安全な場所へと移送した。
スリランカのナショナリスト団体、シンハラ国民運動(Sinhala National Movement) は自身のフェイスブックに動画を投稿し、ロヒンギャに抗議を唱える人々が彼らを「ミャンマーの仏教徒を殺害したテロリスト」と呼び、スリランカに居住させる訳にはいかないと訴える様子を伝えた。
スリランカのマンガラ・サマラウィーラ財務・報道大臣は27日、ロヒンギャ迫害を「恥ずべき行為」と非難し、暴徒らに対し強固な措置を求めた。
ラージタ・セナラトネ保健大臣は迫害に悲しみを表明し、法執行機関に迫害者の逮捕を要請した。
スリランカでは島の人口2,000万人のうち仏教徒が70% を占める。一方イスラム教徒は10%程度だ。
昨年には50万人のロヒンギャイスラム教徒が、ミャンマーからバングラデシュに亡命した。その大半が8月25日以降にバングラデシュへ渡っている。暴徒化したロヒンギャがミャンマー治安部隊を襲撃した日だ。ミャンマーでも多数派を占める仏教徒は襲撃事件を受け、軍事制圧と報復措置を開始した。
仏教徒が大半を占めるミャンマーにおいて、ロヒンギャは長年にわたり迫害と差別を受けてきた。ミャンマー政府はロヒンギャの市民権を否定し、彼らを不法移民と見なしている。スリランカとミャンマーの過激派仏教僧が結託し、少数派であるイスラム教徒を迫害していることについて、迫害を先導する両国の僧侶らに非難の声が上がっている。
By BHARATHA MALLAWARACHI
Translated by t.sato via Conyac