「もうひとつのノーベル賞」4名が受賞 名誉賞に米弁護士

Janerik Henriksson /TT via AP

【コペンハーゲン、デンマーク・AP通信】 9月26日、「もうひとつのノーベル賞」が4名に授与された。受賞者はそれぞれ人権問題、公衆衛生、政治腐敗の改善に向けた「勇敢な行動」を称えられた。

 この賞を授与する財団により、2017年の受賞者としてインドの人権弁護士コリン・ゴンザルベス氏、アゼルバイジャン出身のジャーナリストであるカディジャ・イスマユロヴァ氏、そしてエチオペアの弁護士ヤトネバシュ・ニガシ氏の名が発表された。またアメリカの弁護士で環境問題を扱っているロバート・ビロット氏が名誉賞を受賞した。名誉賞以外の受賞者には賞金として、合わせて300万クローナ(約4,219万円)が贈呈される。

「もうひとつのノーベル賞」の正式名称はライト・ライブリフッド賞という。ゴンザルベス氏は「インドで社会から最も疎外され、弱い立場にある市民の基本的人権を保護するため、過去30年に渡り革新的な公益訴訟に絶えず尽力した」ことを評価された。

 ストックホルムのライト・ライブリフッド賞選考委員会はイスマユロヴァ氏について、「透明性と信用性の名の下、徹底した調査に基づくジャーナリズム」により祖国アゼルバイジャンの政治腐敗を明らかにし、「勇敢かつ不屈の精神」を示したと称した。

 ニガシ氏は「障がい者の権利を尊重し、社会参加を推進するための啓発活動」が評価され受賞に至った。

 選考委員会はまたシンシナティの法律家ビロット氏について、「数十年におよぶ化学汚染の歴史を明るみにし、その被害者の念願である正義を勝ち取り、有害物質に対し有効な規制の判例を作った」ことを受賞の理由とした。

 ライト・ライブリフッド財団発表の声明において、受賞者は年に1度の賞を授与され光栄だとコメントした。

 ゴンザルベス氏はこの賞を「インドが暗黒期にある中、人権活動家が圧力に苦しんでいる時に受賞できた」と述べた。ビロット氏は「我々が口にする水を守るため、さらなる取り組みが早急に必要とされていること、そして地元住民やコミュニティがそのような行動を起こす能力とパワーを持っていることについて、意識を向上し、認識を広める」きっかけになればと希望を語った。

 ライト・ライブリフッド賞の創設者であるスウェーデン系ドイツ人の慈善家、ヤコブ・フォン・ユクスキュル氏は、ノーベル賞に注目してもらえない取り組みがあるという思いから、1980年に同賞を創設した。以降、そのような取り組みを評して毎年1回この賞が贈られている。

 ライト・ライブリフッドとは、仏教の概念である正命を示す言葉だ。過去には米国家安全保障局の元契約職員エドワード・スノーデン氏、ニカラグア出身の人権活動家ビアンカ・ジャガー氏、スウェーデンの児童書作家アストリッド・リンドグレーン氏らが受賞している。

 昨年はホワイト・ヘルメットの名で知られるシリアの民間防衛隊と、エジプト及びロシアの人権活動家、そしてトルコの独立系新聞ジェムフリィエトが受賞した。

By JAN M. OLSEN
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP