サンゴ分類が200年ぶりに大幅見直し グレートバリアリーフから新種続々

画像はイメージ( Matt Kieffer / Wikipedia Commons

オーストラリア・ジェームズクック大学と国際研究チームは、グレートバリアリーフに生息する「テーブルサンゴ」の仲間から新たに5種を発見しました。

【動画】「テーブルサンゴ」に隠れていた新種5種 最新ゲノム研究で判明

成果は国際学術誌『Invertebrate Systematics』に掲載されています。

新種のサンゴを発見

研究では、従来1種と考えられていたサンゴが実際には複数の独立した種であることが判明。

DNA解析や最新のゲノム技術に加え、200年以上にわたる分類学の知見を組み合わせることで、多様性の全貌が再評価されたといいます。

新種のひとつは「トゥルサ(tursa)」と命名されました。

ラテン語で「整然とした」という意味を持ち、枝が同じ高さにそろい、美しく配置されている姿に由来します。

学術的には、本研究はアクロポラ属(Acropora)の「ヒヤシンス種群(hyacinthus species complex)」を対象に、分子解析と形態比較を組み合わせて分類を改訂したものです。

インド洋から太平洋にまたがる22地域の標本を基に、数千の遺伝子配列を解析し、系統を再構築しました。

その結果、16の系統が独立種と認定され、サンゴ分類学の見直しが進みました。

さらに、これまで同一種に統合されていた9種の学名が復活し、アクロポラ属に新たに5種が記載されました。ハリオッタエ(harriottae)、テルサ(tersa)、ニンッグル(nyinggulu)、ウオギ(uogi)、カリンダエ(kalindae)です。

今回の発見は、グレートバリアリーフの生態系保全に新たな視点をもたらすものであり、研究者らは「どれだけの種が存在しているのかを正確に把握できていないこと自体が警鐘である」と強調しています。

この発見に対し世間では、「サンゴは死んでいるんじゃなかったのか」といった揶揄や、「報道されるのは被害の大きな場所ばかりだ」とする声も。

一方で、「おめでとう!ピーター」といった研究者への祝福コメントや、「以前は生物多様性への脅威だとされていたのに、ようやく正しい理解が進んできたようだ」と前向きにとらえる反応もあがっていました。

Text by 本間才子