「世界で最も住みやすい都市」は東京? メルボルン? 英誌で1位同士
毎年行われている「世界で最も住みやすい都市」のランキングが今年も発表された。6月に発表されたイギリスの雑誌「モノクル」の調査では東京が3年連続1位となり、8月16日に発表された、こちらもイギリスの雑誌「エコノミスト」の調査ではメルボルンが7年連続1位となった。東京とメルボルン、一見まったく異なって見える2つの都市がそれぞれの調査で1位になったのはなぜなのか?
◆モノクルが東京を1位に選んだ理由
東京が3年連続1位に選ばれたイギリスの雑誌「モノクル」は世界のニュースやライフスタイルをテーマに扱っている雑誌である。2007年の創刊以来、世界の25の都市の生活の質について調査を実施している。2017年のランク付けは6月に発表され、1位の東京に次いで、2位はウィーン、3位はベルリンとミュンヘンが同点、5位がメルボルンだった。
ただ、この調査結果を見て、なぜ東京が3年連続で1位なのかと首を傾げた人もいるのではないだろうか。というのも、これまで「住みやすい都市」と言われてきた都市は、広々とした街造りがされている所が多く、東京が持つイメージとはかけ離れているためである。
ではなぜ東京は高く評価されたのだろうか。モノクルによる調査では、東京は「都市の生活として質が高い」と評価され、その要因として「豊かな食文化」、「便利な鉄道」、「大都市で混んでいるのに移動するのがスムーズ」などがあげられている。
◆メルボルンが1位となったエコノミストの調査基準
一方、8月中旬に発表されたイギリスの経済誌「エコノミスト」が発表した「世界で最も住みやすい都市」は、世界の140の都市を対象とした調査で、オーストラリアのメルボルンが今年で7年続けて1位となっている。2位はウィーン、3位はバンクーバー、4位はトロント、5位がカルガリーだった。
エコノミストの行った調査は、大きく分けると「安定性」「医療」「文化・環境」「教育」「インフラ」の5つの分野について行われている。このうちメルボルンが100点満点を取ったのは医療、教育、インフラであり、残りの2つの分野も95点前後を取り高い評価となっている。この評価からは、長期に渡って住むのに住みやすい都市のイメージが伝わってくる。ちなみに、この調査の上位10位に日本の都市は入っていない。
◆東京とメルボルン、どちらが世界で最も住みやすい都市?
では、東京とメルボルンではどちらが世界で最も住みやすい都市なのだろうか。東京の評価を裏付けるものとして、2016年に発表されたアメリカの旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」による「最も魅力的な都市ランキング」がある。このランキングでは東京が1位、京都が2位に選ばれている。
つまり、医療、教育、インフラが高く評価されたメルボルンは長期滞在もしくは定住するときに最も住みやすい都市であり、公共交通機関が発達し、広い食文化が楽しめ、伝統とハイテクが共存している東京は旅行者やビジネス関係者にとって最も住みやすい都市だということになるのではないだろうか。
世界一人口密度の高い東京が「世界で最も住みやすい都市」に選ばれたのは素晴らしいことではあるが、さらに欲張って、長期滞在した場合でも住みやすい都市になるよう、さらなる改善をしていきたい。