水深860mで採取 沖縄発の宝石サンゴ「リュウキュウサンゴ」が新種認定

画像はイメージ(Ray_go / Wikipedia Commons

沖縄本島東海岸で、新種のサンゴ「リュウキュウサンゴ」が発見されました。

【画像】美ら島の深海に眠る宝石 沖縄で発見された新種「リュウキュウサンゴ」

この研究成果は、日本動物分類学会の英文誌『Species Diversity』に掲載されています。

沖縄で新種のサンゴ

標本は平成25年に沖縄美ら島財団が実施した深海生物調査で、水深860mの地点から採取されたものです。

形態観察と遺伝子解析の結果、「ミゾサンゴ属(Hemicorallium)」に属する既知の種とは異なる特徴を持つことが判明しました。

特徴としては、枝が同じ平面上で規則正しく広がるように分かれており、枝の表面や小さなサンゴ個体(ポリプ)の色合いにも独自性があります。

さらに、体を覆う組織の中にある細かな石灰質のかけら(骨片)の形や大きさが、他の種類と区別できる重要な要素。

また、ポリプの塊は比較的大きく、直径1.1〜2.0㎜ほどで、全体が淡いピンクから赤色の美しい色合いをしています。

また、このサンゴの骨の芯(骨軸)には、他の生き物が住む小さな穴がないことも特徴です。

遺伝子の違いを比べた結果、リュウキュウサンゴは他とは別の系統に属することが分かりました。

ただし調べる遺伝子の場所によって系統図(進化のつながりの図)の形が少し変わるため、より確実に新種として確認するには、集団全体を対象にした詳しいゲノム解析が必要だということです。

赤く整った枝ぶりの美しさと沖縄本島東海岸での発見にちなみ、この新種を「リュウキュウサンゴ」と命名。

本種は、琉球列島を基準産地とする初めての宝石サンゴの記載例となりました。

この発表に対し、ネット上では「沖縄のサンゴは海水温の上昇で弱っている。過酷な環境にも耐えられる新しい種類が増えてほしい」といった期待の声や、「海外からの密漁で一掃されてしまわないことを祈る」といった懸念も寄せられていました。

Text by 本間才子