山陰地方では初 島根の海岸で発見された新種のイシサンゴ化石

画像はイメージ( shrk / Flickr

島根県大田市の海岸から、新種のイシサンゴ化石が発見されました。

【画像】「進化の過程を探るうえで貴重な資料」島根で発見された新種のイシサンゴ化石

この成果は、日本古生物学会の国際学術誌『Paleontological Research』に掲載されました。

山陰地方で初のイシサンゴ新種

山陰地方でイシサンゴの新種が確認されるのは初めてのことです。

発見されたのは、島根県大田市にある猛鬼海岸。

約1,500万年前の地層から、イシサンゴ目キサンゴ科に属する新種が見つかり、発見場所にちなみ「モウキキサンゴ」と命名されました。

化石の詳細な構造は、マイクロフォーカスX線CTによる非破壊解析で明らかになりました。

キサンゴ属は枝分かれの形がさまざまなサンゴですが、モウキキサンゴは「太い幹から枝が伸びるような形」をもつ最も古い例と判明。

サンゴがどのように複雑な形に進化してきたかを知る手がかりになります。

今回の研究では、モウキキサンゴのほかに「ペトロフィリア・ニイミエンシス」や「デンドロフィリア・オカモトイ」など、あわせて3種類の無藻性イシサンゴが見つかりました。

無藻性とは、サンゴが体内に褐虫藻をもたず、光合成に頼らずに深海などで生息するタイプを指します。

2つの属がともに多数見つかる無藻性サンゴ群集が確認されたのは、世界で初めてのことです。

研究チームは、「今回の発見は、無藻性サンゴの多様性や進化の過程を探るうえで貴重な資料であり、今後の冷水性サンゴ礁の研究にもつながる成果だ」との見解を示しています。

深海に生きるサンゴの歴史や、過去の海洋環境を理解するうえでも意義のある発見となりました。

Text by 本間才子