イラン、原子炉設備にサボタージュの関与を指摘

現在イランでは、原子炉設備を巡って問題が起きている。欧米各国や国際原子力機関(IAEA)は、設備が核弾頭などの製造へ転用されることを疑っている。一方イランは、原子炉は医療などの平和的利用目的であると主張している。こうした状況下、8月17日にイランのフォルドにある原子炉設備への電力供給が、何らかの爆発によって阻止された。この原子炉は地下深くに埋まっているため、イスラエルなどが最も注目している施設だ。事件後、IAEAの監査員がイランへ調査を要求した。

<各紙の報道>

FTは、主にイラン内部の事件に対する姿勢に焦点を当てた。アッバースィー・イラン原子力庁長官のコメントを紹介している。具体的には、爆発事件は「テロリストやサボタージュ(編注:政治的破壊活動に従事する者)」によるものだと初めて言及し、IAEAの関与を疑い批判した。さらに、「スタクスネット」ウイルスによるサイバー攻撃や科学者の暗殺などを、アメリカとイスラエルの仕業だと強く非難した。一方、IAEAは核物質の用途などを正確に報告しないイランを信頼できないとみていると報じた。イラン側の、正直な報告をしているという主張も掲載しており、両者の溝の深さを明らかにした記事ともとれる。

IHTは、イランとイスラエルなど他国との関係に注目した。特に、イスラエルのイランに対する強硬な態度を報じた。具体的には、イランの核開発を止めるのは軍事政策のみだというコメントや、アメリカの対イラン外交への異例の要求など、ネタニヤフ首相の発言をまとめている。ただ、オバマ米大統領は、武器転用は可能性の1つの域を出ないとし、様子を見る姿勢だと報じている。同様にメルケル独首相も、イランを脅威であると指摘しつつ、あくまで政治的解決を模索する態度だと報じた。

Text by NewSphere 編集部