北朝鮮はどのようなミサイルを保持しているのか?

Wong Maye-E / AP Photo

【ソウル・AP通信】 北朝鮮がグアムを攻撃すると威嚇しているが、米国領に先制攻撃して自ら破滅を招くことが起こるとは考え難い。だがアナリストによると、北朝鮮がグアムまで届くようなミサイルを何種類か保有しているのは事実である。グアムには米軍基地があるため、平壌は定期的にグアムに対して脅迫をしてきた。

 しかし、北のミサイルが朝鮮半島から3,400 キロメートルも離れたグアムに届いてからそもそも損害を与えることができるかは、不確かだ。これらのミサイルは戦闘状態で使われたことがなく、発射実験も比較的少ない。また、ミサイルが大気圏に再突入した際に熱や圧力に耐えて標的に届く技術を北朝鮮が開発できているかも不明瞭だ。

 これらの点を踏まえた上で、グアムに届く可能性のあるミサイルを解説しよう。

◆火星12(HWASONG-12
 北朝鮮の朝鮮人民軍はグアムを「包囲射撃」する計画を公表したが、この計画で使われるミサイルは今年5月に初めて発射実験が成功した新しい中距離弾道ミサイル「火星12」だ。

 液体燃料を使用するこのミサイルは発射機車両搭載型で、アラスカとハワイを狙うために作られたと北朝鮮は説明している。北朝鮮は先月、大陸間弾道ミサイルの「火星14」も発射実験を2度行った。アナリストによると、「火星14」の精度が上がれば、ロサンゼルスやシカゴなどを含めたアメリカ本土の広範囲が射程内に収まることになる。

 5月の実験からの飛行データによると、「火星12」の射程は4000〜7000キロメートルと推定される。

◆舞水端(MUSUDAN
 液体燃料ミサイルである舞水端の射程は3500キロメートルと推定され、アジアや太平洋の広範囲が射程内となる。北朝鮮は舞水端の発射実験で複数の失敗を繰り返したが、去年6月にとうとう成功した。成功を踏まえ、最高指導者・金正恩は北朝鮮が「太平洋の米軍を全面的かつ現実的に攻撃できる確実な能力を持つことになった」と宣言した。

 去年の発射実験まで北朝鮮は舞水端の実験を行ったことがなかったが、2010年の軍事パレードですでに公開されていた。

◆北極星2号(PUKGUKSONG-2
 現在開発されている潜水艦発射ミサイルの陸上版であるこの固体燃料準中距離弾道ミサイルは、今年2月に初めて発射実験が成功した。3ヶ月後、再び実験で成功したのちに金正恩はミサイルの大量生産を承認した。

 「北極星2号」の開発によって北朝鮮は戦闘能力を大幅に高めたとアナリストは述べる。固体燃料を使うミサイルは、液体燃料のような発射前に燃料を供給し、発射場まで特殊車両で運搬する必要がないため、より即応性と隠密性がある。

 北朝鮮は「北極星2号」を「火星12」と同じ「中長距離戦略ミサイル」としていて、韓国の専門家はこのミサイルがグアムに届く可能性があるとみている。しかし韓国の国防部によると、5月の実験から「北極星2号」の射程は約2000キロメートルと推定されている。これは、日本の米軍基地を狙うには十分の射程だが、グアムには届かない。

By KIM TONG-HYUNG, AP
Translated by Masaru Urano

Text by AP