新型CX-5の“進化”にざわつく米ファン「マツダの理念に反する」「他社より優れてたのに」
新型「MAZDA CX-5」(欧州仕様)|マツダ
マツダの主力SUV「CX-5」が全面改良される。北米仕様では、全長が約114mm延びて室内が広くなり、最大15.6インチのタッチスクリーンを採用。長年こだわってきたダイヤル式の操作系は廃止され、タッチ操作への全面移行を果たす。こうした大幅な変更に対し、アメリカのファンの間では賛否両論の声が上がっている。
◆顧客の不満に応えた大型化
コンパクトなサイズが魅力だったCX-5だが、今回の改良では、より広い室内空間を求める顧客の声に応え、大幅なサイズアップに踏み切った。新型の全長は約4710mmと、現行より約114mm長くなり、ホイールベースも約76mm延長された。その結果、後席の足元空間や荷室容量が大きく改善されたという。米カー・アンド・ドライバー誌は、現行モデルの「平均以下の荷室スペース」が数少ない弱点だったと指摘し、今回の改良を高く評価している。
米モータートレンド誌は、デザインの進化にも注目。新型CX-5は、上位モデルのCX-70やCX-90の影響を受け、新しいデザイン手法を取り入れている。リアには従来のエンブレムに代わって「MAZDA」の文字を配置し、より洗練された印象を与えている。
◆タッチ操作の快適さと安全性を両立
これまでCX-5は物理ダイヤルによる操作にこだわってきた。運転中に視線を逸らさずに操作できる点が、マツダの安全哲学を象徴していた。しかし今回、マツダはついにタッチスクリーンの採用に踏み切った。
米ドライブ誌によると、マツダ北米事業戦略企画担当副社長のステファン・マイスターフェルド氏は、長年にわたる顧客調査の結果を受け、ロータリーコントローラーの廃止を決断したという。新型CX-5では、12.9インチ(オプションで15.6インチ)のタッチスクリーンが搭載される。
「手はハンドルに、目は道路に」との基本方針のもと、ステアリングホイールも新たに設計された。マイスターフェルド氏は、「再設計されたステアリングホイールによって、運転中でも主要な機能を直感的に操作できる」と説明。グーグル・アシスタントによる音声操作とも連携させることで、ドライバーが視線を外さずに快適に使えるよう配慮されているという。
◆物理ダイヤルとの別れを惜しむ声
長年親しまれてきたインターフェースだけに、新方針に戸惑いや不満を抱く声も少なくない。米カー・アンド・ドライバー誌の読者からは、タッチスクリーンへの移行に対する反対意見が寄せられている。
「長年マツダのファンで、現在はCX-50に乗っているが、タブレット偏重の方向性にはがっかりしている。かつてマツダは“タッチスクリーンは飲酒運転よりも危険だ”とまで言っていたのに」
「見た目はすばらしいが、物理ボタンの削減は本当に心配。この10年、マツダが貫いてきた理念に反していると思う」
同様の懸念は、米ドライブ誌の読者からも聞かれる。
「VWやヒョンデと同じように痛い目を見て学ぶことになるだろうね。助手席の人と話していたり、ハンズフリー通話中だったりすると、音声コマンドで温度を変えたり他の設定を調整したりすることができなくなる」
「CX-5のオーナーで、マツダのダイヤル式インフォテインメントのファンだ。運転中でも直感的に操作できる点が特に気に入っており、競合他社よりもずっと優れていたのに」
名残惜しむ声は根強い。時代の流れに沿った進化として、果たしてこの方針転換は受け入れられるのだろうか。




