ロシア、禁止化学兵器の使用を拡大 オランダ情報機関が警告
ロシア外務省と国防省による記者説明会で展示された化学実験室(18年6月)|AP Photo
オランダの2つの情報機関は4日、ロシアがウクライナで禁止されている化学兵器の使用を強めており、その中には第一次世界大戦時に使われた毒ガス「クロロピクリン」も含まれていると発表した。
オランダの軍事情報機関と保安局は、ドイツの情報機関とともに調査を行い、ロシア軍による禁止化学兵器の使用がウクライナにおいて「常態化し、一般的になっている」と結論づけた。
調査によれば、ロシア軍はクロロピクリンや催涙剤のCSをウクライナ兵が避難している場所に使用し、兵士を屋外に追い出したうえで射殺しているという。
オランダのルーベン・ブレケルマンス国防相は、モスクワに対するさらなる制裁と、キーウへの軍事支援の継続を呼びかけた。
先月オランダの連立政権が崩壊した後も暫定的に職務を続けているブレケルマンス氏は、化学兵器の使用が常態化することは望ましくないと述べた。
使用のハードルが下がることは「ウクライナだけでなく、ヨーロッパや世界全体にとっても危険だ」と声明で述べている。
ロシアはクロロピクリンやCSの兵器としての使用を禁じる化学兵器禁止条約に加盟している。条約の監視機関である「化学兵器禁止機関(OPCW)」は、ウクライナでCSに関わる複数の事案を確認しているが、加盟国からの正式な要請がないため、全面的な調査は行っていない。
OPCWの執行理事会は今週、定例会合を開く予定で、そこでウクライナでの紛争が議題に上がる見通しだ。
ロシア当局はこの件について直ちにコメントしていないが、過去には化学兵器の使用を否定し、代わりにウクライナ側が禁止物質を使っていると主張してきた。
ウクライナによれば、ロシアは2022年に全面侵攻を開始して以降、国内で9000件の化学兵器攻撃を行っているという。
2024年には、アメリカ国務省もウクライナ兵に対してクロロピクリンが使用されたことを確認したと発表している。
By MOLLY QUELL




