「行動や生息環境に独自の傾向」 新種のタイガービートル発見

画像はイメージ(Flicker/ Judy Gallagher

都市域に生息する新種の昆虫が、最新の遺伝解析によって明らかになりました。

【画像】「都会に新種の昆虫?!」アメリカで確認されたタイガービートル

この成果は、国際学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

都市開発により絶滅危機の可能性も

研究を行ったのは、米テキサス州・ライス大学の進化生物学者スコット・イーガンさんのチームです。

今回の調査対象となったのは、かつて「ユーノタ・サーカムピクタ(Eunota circumpicta)」の一部とされていたタイガービートルの仲間。

研究チームは、従来の形態的な特徴や分布域に加えて、最先端のゲノム解析技術を用いた手法で分類を見直しました。

その結果、新たに独立した1種と認定されたのが、「ユーノタ・ヒューストニアナ(Eunota houstoniana)」です。

種小名には、主な分布域であるヒューストン地域への敬意が込められています。

この新種は既知種と比べてやや小型で、金属光沢は控えめであるほか、行動や生息環境にも独自の傾向が見られるといいます。

特に、海岸沿いの塩性土壌や石油採掘地に近い塩ドーム周辺に好んで生息する特徴があり、都市から内陸部まで広い範囲に適応していることが確認されました。

発見者のイーガンさんは「ヒューストンの都市圏内にも、まだ見つかっていない昆虫や植物が存在している。ゴルフ湾の生物多様性には学ぶべきことが多い」と述べています。

一方で、この種が生息する環境は都市開発や農業・産業活動によって脅かされており、発見されたばかりでありながら、すでに絶滅の危機に瀕している可能性もあると指摘されています。

ユーノタ・ヒューストニアナは、イーガンさんが過去11年間で記載した17番目の新種にあたります。

なお、本研究と並行して、同じ属に属する別の新種「ホワイト・ゴースト・タイガービートル(Eunota luecophasma)」もテキサス西部で記載されており、この地域の甲虫類の多様性の豊かさを改めて示す成果となりました。

この発見には、「化学工場で生まれた突然変異の虫では?」や「ヒューストンで“ジャーマンゴキブリ”が“テキサスゴキブリ”に取って代わった理由も、偶然ではないはず」との声も。

「これの研究費を請求するのだけはやめてくれ」「マーベル(アメリカの大手ヒーロー漫画・映画制作会社)で今度は“ビートル・ガール”が新キャラだ」といった声も寄せられ、さまざまな想像や反応を呼び起こしています。

Text by 本間才子