「ウミウシそっくりだ」 日本とベトナムの海で発見された新種の生き物
画像はイメージ(Bernard DUPONT / Flickr )
日本とベトナムの海で、ウミウシに擬態する新属新種のゴカイが発見されました。
【画像】「擬態のレベル、本気すぎ!」日本とベトナムの海で発見された新種のゴカイ
この成果は、国際学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
日本とベトナムの海で新種のウミウシ
発見されたゴカイは、環形動物門・多毛綱・シリダ科に属し、三重県の菅島、和歌山県の古座、およびベトナム沿岸のサンゴ群集から採集されました。
学術的には新属新種と認定され、属名「クリプトカエトシリス(Cryptochaetosyllis)」、種小名「イミタティオ(imitatio)」が与えられました。
日本語名は、「ケショウシリス」と命名されています。
このゴカイは、共生するサンゴ・ウミトサカとは異なり、派手な姿をしています。
近くにいる毒をもつウミウシにそっくりで、特に触手の先の模様が酷似していることがわかります。
これは、毒を持たないケショウシリスが敵の目を欺く護身術だと考えられます。
この研究は、名古屋大学大学院理学研究科附属臨海実験所の自見直人講師を筆頭に、マレーシアサインズ大学、ロシア科学アカデミー生態進化研究所、ブラネス高等研究センター(CEAB-CSIC)による国際共同で進められました。
分類学、形態観察、分子解析の手法を組み合わせることで、この生物が新属新種であることが明確になりました。
こうした擬態がゴカイで確認されたのは今回が初めてで、環形動物ではきわめて珍しい例とされています。
研究チームは、この発見が海の生き物たちの多様な生存戦略や、擬態の進化を解き明かす手がかりになると期待しています。
なお、今回発見されたケショウシリス(Cryptochaetosyllis imitatio)は、国際的な海洋生物データベース「WoRMS(World Register of Marine Species)」が選ぶ『世界の注目すべき海洋生物の新種トップ10 in 2024』にも選出されており、学術的な意義だけでなく、国際的な注目も集めています。
この発見にネット上では、「このミノっぽい部分、ゴカイの背中の触手が大きくなったものなんだ。色までウミウシそっくりだね。」「擬態のレベル、本気すぎ!」といった驚きの声が寄せられていました。




