世界最小級! 沖縄の海に“1.2cm”の新種イカ2種が登場

画像はイメージ(Retinafunk/ Flickr

沖縄周辺のサンゴ礁や海草藻場で、新たに2種の小型イカが正式に新種として記載されました。

【画像】沖縄の海に潜む“未知の命” 学術誌が認めた新種イカの正体

この成果は、学術誌『Marine Biology』に掲載されています。

沖縄で新種のイカ

この研究で新たに記載されたのは、「リュウキュウヒメイカ(イディオセピウス・キジムナ―:Idiosepius kijimuna)」と「ツノヒメイカ(コダマ・ジュジュツ:Kodama jujutsu)」の2種です。

リュウキュウヒメイカは、沖縄の伝承に登場する赤毛の精霊「キジムナー」にちなみ命名されました。

赤みを帯びた小さな体を持ち、海草藻場で背中の吸着パッチを使い、植物に貼りついて生活している様子が特徴です。

一方のツノヒメイカはサンゴ礁に生息し、新たに設けられた「コダマ属(Kodama)」に分類されました。

属名は、森に宿るとされる精霊「木霊」に由来しています。これらのイカはいずれも非常に小さく、最大でも体長は1.2㎝程度にとどまります。

生息域が限られていて体も非常に小さいため、発見には細やかな観察力が求められました。

今回の研究は、水中写真家のショーン・ミラーさんやOIST技術員の浅田渓秋さんらが撮影した写真をきっかけに進められました。

ツノヒメイカの英名「ハンナンズ・ピグミースクイッド」は、水中写真家のブランダン・ライアン・ハンナンさんが発見に貢献したことにちなみ名付けられています。

研究に携わった沖縄科学技術大学院大学のジェフリー・ジョリーさんによると、「ツノヒメイカは、自分より大きなエビに組みつき、力ではなく動きで制して捕らえる様子が、柔術に似ている」のだとか。

種小名の「ジュジュツ(jujutsu)」は、格闘技を彷彿とさせるこのユニークな捕食行動から着想を得たものです。

ツノヒメイカでは、飼育下で2世代にわたる繁殖にも成功。交尾の際には、ペアが向かい合う、あるいはオスがメスの下から近づくといった求愛行動が確認されました。

これらのイカが暮らす沿岸環境は、気候変動やサンゴの白化、埋め立てなどの影響で脅かされています。

ジョリーさんは、「分類学は目立たない分野ですが、新種を記載することで、生物多様性の豊かさと未知の存在に気づかせてくれます」と述べています。

この発見に対して世間では、「とても小さな生き物だけど、自然の中で役割を果たしている」「興味深い」といった感想も見られました。

Text by 本間才子