見つかっているのは主に1箇所だけ! オーストラリアに生息する新種のハチ

画像はイメージ(Jordan Schwartz / Flickr

オーストラリアに生息する希少なハナバチの一群「レジンポットビー」に、55種もの新種が加わったことが明らかになりました。

【画像】「樹脂で巣を作る珍種ハチ」 オーストラリアで55種の新種を発見!

学術誌『Australian Journal of Taxonomy』に詳細が掲載されています。

オーストラリアで新種のハチ

レジンポットビーは、葉を切って巣を作ることで知られるハキリバチ属の中でも特に珍しい「オーストロカイル」という亜属に属し、独特な巣作りの習性を持っています。

彼らは樹脂を材料にして巣室を作り、それを木の枝や樹皮に単独、あるいは集団で貼り付けるようにして営巣。

こうした習性から、研究者らはこの亜属のハチを「レジンポットビー(樹脂ポットバチ)」と呼ぶことを提案しています。

レジンポットビーはタスマニア州を除くオーストラリア全土に分布しており、これまでは25種が知られていました。

南オーストラリア博物館のレイス博士によると、1992年までに25種が知られていましたが、その後のブッシュブリッツ調査などでさらに23種が見つかったということです。

ブッシュブリッツは、オーストラリア政府、BHPビリトン、アースウォッチ・オーストラリアの共同プロジェクトで、自然保護区を中心に動植物の調査を行い、多くの新種発見をもたらしてきました。

また、プロジェクトからの資金提供を受けた研究者らは、オーストラリア国内の昆虫標本コレクションを精査し、さらに20種の未記載種を特定しています。

今回の研究でレジンポットビーは78種に増えましたが、その多くは1ヶ所でしか確認されていません。

ウロンゴン大学のドリー博士は、生息状況や個体数のデータが乏しく、保全の判断が難しいと述べています。

この発見を受けて世間では、「重要なのに評価も資金も足りていない分野」「オーストラリアのハチの分類にはまだやるべきことが多い」といった声があがっています。

Text by 本間才子